2020 Fiscal Year Research-status Report
Cooperative Learning and Japanology: Development of an Intercollege Program for Japanese and International Students
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20K00864
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
金志 佳代子 兵庫県立大学, 国際商経学部, 教授 (20438253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 晶子 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (30462089)
Valvona Chris 沖縄キリスト教学院大学, 人文学部, 教授 (40532578)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協働学習 / ジャパノロジー / CLIL / ELF / 大学間交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、言語・文化背景の異なる外国人留学生と日本人学生を対象に、日本の大学間および大学内で協働学習を行うためのジャパノロジーに基づいたプログラムを開発することである。日本の3大学(兵庫・福岡・沖縄)間で、学生たちが、自らが生活する日本の地方文化・伝統・歴史について学び合い、別の地域に住む学生に向けて英語で情報を発信するプロジェクト型学習を実践する。 研究課題①「英語で地方を発信するジャパノロジーのプログラム開発と運用」は、各地域の通訳案内士の協力を得て、目標言語と同時に内容が学べるプログラムを開発する。このプログラムを用いた協働学習を実践したのち、参加学生への質問紙調査、参与観察を行い、プログラムの修正・改良を重ねる。開発したプログラムは、日本人学生・外国人留学生の言語運用能力・異文化理解を向上させるとともに、地方文化を英語で発信できる人材育成を目指すものである。同時に、研究課題②「日本の3大学(兵庫・福岡・沖縄)における大学間および大学内での協働学習の実施と効果の検証」を連動させながら進める。日本の地方都市に住む学生たちが、英語によるEメール交換を通じて、互いの地域文化について学び合いながら、自らの言語運用能力、異文化コミュニケーション能力を向上させる。さらにプログラム実施後は、 学生を対象とした質問紙調査を行い、学生からの回答結果をもとにプログラム内容を再検証する。 本研究で得られた成果は、英語教育に関連する学会およびワークショップで発表し、高等教育機関への導入・実践を図る。半構造化面接、参与観察、およびアンケート調査より得られたデータは、テキストマイニングツールを用いた質的分析をおこない、CLIL教材の開発、協働学習の効果検証に用いる。同時に、地方都市の文化を英語で発信し、地域のグローバル人材育成促進に貢献できるプログラムとして一般に公開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題①の通訳案内士を対象とした研究動向に関する情報収集に先んじて、「観光英語」「通訳ガイド」を対象とした「科研費採択課題」について検討を行った。「科研費データベース」の検索機能でヒットした「観光英語」「通訳ガイド」のうち、英語教育に関する国内の研究プロジェクト(9件)について考察した結果、研究対象者として、外国人留学生を明示的に含んでいるものがないことが明らかとなった。また、本研究で研究対象とする兵庫県、福岡県、沖縄県の3県は含まれていないため、「地方からの英語による発信」を目的とした通訳案内士の各県の英語による観光通訳の実情や異文化間コミュニケーションに関する聞き取り調査を実施した。検証結果は、論文として執筆・発行した。 まず、研究課題①「協働学習のための教材およびプログラム作成」のため、現地の文化に精通している通訳案内士のうち、兵庫県(含む大阪府在住者)6名、福岡県10名で活動している対象に対して半構造化面接を実施し、それぞれの地域特有の観光名所、祭り、郷土料理、工芸などについての情報収集を行った。ここで得られた知見をもとに、プログラムデザインに着手した。 研究課題②では、兵庫、福岡、沖縄の大学生(外国人留学生、日本人学生)を対象に、Eメールによる大学間協働学習を実施した。地方都市の3大学、異なる専攻分野で学ぶ42名の学生による協働学習では、共通のトピック(自己紹介、出身地、食、祭り、工芸品)にもとづくEメール交換を実施した。プログラム実施中は担当教員による参与観察を行い、互いの地域文化を英語で学び合う協働学習による学生の言語運用能力、異文化コミュニケーション能力を測定し、その効果を検証した。さらにプログラム実施前と実施後は、 プログラム参加学生を対象とした質問紙調査を行い、学生からの回答結果をもとに、次年度の大学間協働学習のプログラム内容について再検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究で得られた成果は、英語教育に関連する学会およびワークショップで発表し、高等教育機関への導入・実践を図る。研究課題①の検証結果は、2021年度4月に東アジア英語教育研究会において研究発表を行った。研究成果は、『中村学園大学・中村学園短期大学部研究紀要』に投稿する予定である。また、2121年5月にJALT PanSIG Conference2021において、研究課題②の大学間協働学習の実践報告を行った。この研究成果は、『JALT PanSIG Journal』に投稿予定である。さらに2021年度は、前年より得られた結果をもとに、さらに検証を重ね、大学生を対象に大学間協働学習を実施する。開発したプログラムを大学間・大学内で実践することで、自律的に互いに学び合うことによる言語運用能力・異文化理解力の向上を検証する。大学間協働学習による半構造化面接、参与観察、およびアンケート調査より得られたデータは、テキストマイニングツールを用いた質的分析をおこない、CLIL教材の開発、協働学習の効果検証に用いる。データの質的分析については、国内外の学会や研究者を対象としたセミナーに参加することで、分析方法について学ぶ機会を積極的に活用する。大学間協働学習から得られた分析結果は、RELCやETAをはじめとする国内外の学会で発表するとともに、論文を執筆し出版する。翌年2022年度は、本研究から得られた知見・データをもとに、大学間協働学習のための教材・プログラムを開発、発表し、国内外の英語教育関係者向けのTESOLオンラインリソースに開発したプログラムを登録する。研究の成果は、今後の外国語教育プログラムや教材開発に活用することで、地方都市の文化を英語で発信できるグローバル人材育成を促すことが期待される。
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Causes of Carryover |
2020年度は、コロナ禍のため当初計画していた国内外への学会への旅費を支出する必要がなくなったため、次年度使用額が生じる結果となった。2021年度も引き続き旅費としての支出はなくなるが、その代わりに、質的データ分析のための、研究者を対象としたセミナーや国内外の学会へのオンライン参加費に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)