2020 Fiscal Year Research-status Report
Material development of "Japanese English" for inbound visitors: seeking equality among the speakers of English as a lingua franca
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20K00870
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
宮本 節子 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (80386896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 幸倫 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (60449113)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英語教育 / 分野別英語教育(ESP) / リンガ・フランカとしての英語(ELF) / 国際英語論 / 日本英語 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、前科研課題(「学習対象としての周縁的英語論の試み:タイ人訪日旅行経験に基づくタイ英語の教材化(挑戦的萌芽研究2016-8年度)」)で構築した理論的枠組みや実践で得た知見を発展させ、中国語を母語とする訪日旅行者向けの日本英語教材を作成し、効果を検証することを目的としている。 初年度は教材で扱う学習分野を特定する準備期間と位置づけ、日本英語及び中国英語の音声・文法・語用論的特徴に関する先行研究調査、学習者側のニーズ分析として訪日経験のある中国英語話者への聞き取り調査等の情報収集を経て試作教材を作成する予定であった。今年度は中国語圏並びに国内のインバウンド施設での現地調査は行わなかった。学習分野を特定する第一段階として、日本英語、中国英語、規範としてのアメリカ英語の三者がどのような関係にあるのかを分析するため、主に文献調査によって日本英語の主な特徴を盛り込んだオンライン聴解テストを作成し、中国語話者を対象に実施し、理解度を分析した。この際、対象者を広く中国語を母語とする英語話者ではなく台湾英語話者に限定し、一定程度対象者の言語的教育的均一性を担保した。少人数を対象に実施した予備テストでは、標準英語の理解に必要な知識・技能経験が日本英語の理解度とは必ずしも一致せず、英語力に加えて日本語力や日本滞在経験が日本理解を促進している可能性が高いこと等が示唆された。また、オンラインテストの実施方法、問題の妥当性について課題があることを確認した。これらを踏まえ、問題を改良した2回目のオンラインテストを実施し、更に詳細に結果を分析する予定である。初年度調査で得られた調査結果は論文として取りまとめた(『相模女子大学文化研究』第39号、2021年3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた中国語圏及びインバウンド観光現場での現地調査の実施が困難となったが、この状況に迅速に対応できたとは言えず、オンライン調査着手までに時間がかかったことが影響し、初年度の予定であった試作教材の作成には至らなかった。しかしながら、台湾人英語学習者を対象としたオンライン聴解調査によって、日本語学習経験や訪日経験と日本英語の理解度や言語態度にどのような関連があるのか、想定内容にある程度合致した結果を得ることができた。また、日本英語の理解度を評価する聴解テストの出題方法や妥当性についても検討する機会となり、教材作成に生かすべき過程となったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語学習歴や日本英語との接触経験等の属性により幅のある台湾人を対象とした2回目のオンライン調査の分析結果は2021年度の学会等で発表予定である(日本「アジア英語」学会大会)。今年度は聴解テスト分析で得た知見を元にフォーマット、音声、状況設定を吟味、精査ののち試作教材作成に着手し、教材評価を行う予定である。試作教材に際しては、広く中国語圏の中国英語話者を対象にするのではなく、台湾英語話者に学習想定者を限定する。これは当初の研究計画からの変更となる。試作教材評価についてもオンラインが主な手段となるため、方策を早めに立てる必要がある。また、専門家からも試作教材について意見を広く求めるべく、発表の機会をできるだけ多く持つ予定である。
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Causes of Carryover |
次年度予算額が生じた理由は主に以下の2点である。1)当初計画の中国語圏への現地調査、国内調査、学会出張等の旅費の使用が生じなかった。2)現地調査で想定していた謝礼費が生じなかった。 次年度予算については、資料作成、聞き取り調査等をオンラインで実施するべく支出内容を吟味し、オンライン切り替えによって当初予算になかったが支出が必要となった場合に使用したい。現時点では前年度に台湾で実施したオンラインテストのフォローアップ、及び継続した調査協力に関わる謝礼費、オンライン調査への切り替えによって生じる日中翻訳委託費、日本英語及び台湾英語のサンプル音声資料の作成委託費等に充てる予定である。
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