2023 Fiscal Year Research-status Report
Re-interpretation of language learning anxiety based on the cultural differences
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20K00875
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
植木 美千子 関西大学, 外国語学部, 准教授 (30737284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 理 関西大学, 外国語学部, 教授 (40206941)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | questionnaire / back translation / TRAPD method / FLCAS / 外国語不安 / 質問紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二言語習得(SLA)研究において、外国語不安、または外国語教室不安は大きな議論を呼んでいる。この不安が第二言語(L2)のパフォーマンスを常に阻害するのか、それともL2の不安が逆にパフォーマンスを向上させるのかについて研究が行われている。このような目に見えない学習者の情動を測定する際、質問紙は主要な手段として用いられている。そのため、質問紙の信頼性と妥当性が重要であり、特に異なる文化的コンテクストで使用する場合、翻訳された質問紙の信頼性と妥当性が問われる。伝統的に、異なる言語や文化間での質問紙の等価性を保証するためにバックトランスレーションが採用されている。しかし、この手法は異文化コミュニケーションや翻訳・通訳研究の分野で真の等価性を保証する手段としての限界点が指摘され、頻繁に批判の対象となっている。2023年度の研究では、これまでの研究を整理し、質問紙翻訳のプロセスを翻訳、レビュー、調整、プレテスト、文書化(TRAPD)という手法を用いて再整理した。このアプローチは、バックトランスレーションの短所を克服し、質問紙の等価性を確保するためのより包括的な枠組みを提供することを目指した。過去の海外ジャーナルにおける質問紙調査を振り返ると、SLA研究においては依然としてバックトランスレーションが主に用いられていることがわかるが、その著しい限界にもかかわらずである。本研究は、外国語不安研究における研究結果の不一致を質問紙の等価性という観点から解釈し、特に翻訳のアプローチ選択が研究結果にどのように影響を与えるかを理解しようと試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の進捗が遅れている理由は、新しい枠組みで研究を再構築しているためである。従来の方法では解決できなかった問題に対応するため、より包括的で効果的なアプローチを模索しており、このプロセスが時間を要している。この新しい枠組みには、質問紙の翻訳と評価に関する新たな手法や基準が含まれており、研究の品質と信頼性を向上させることを目指している。そのため、短期的には進捗が遅れるが、長期的にはより確かな成果を得るための必要なステップである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、TRAPDで再構築した研究を論文化していくことが計画されている。このプロセスを通じて、質問紙の翻訳と評価の新たな枠組みを広く共有し、その有効性と影響を学術界に示すことが目指される。また、このアプローチにより得られた知見を活用して、外国語不安研究における質問紙の等価性という課題に対する理解を深め、より広範な研究コミュニティに対してその成果を展開していく。
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Causes of Carryover |
次年度に約15万円の使用額が繰り越された理由は、研究途中で新しい枠組みによる再構築を行ったためである。この変更により、計画していた研究発表やその論文執筆活動を次年度に延期する必要が生じた。次年度では、この繰り越された資金を利用して、再構築した研究成果の発表や関連する学術活動に充てる計画である。この遅延により、研究の質を向上させ、より確かな成果を得ることを目指している。
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