2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K00883
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
巽 徹 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10452161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 裕実 静岡県立大学, その他部局, 特任講師 (10981201)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小学校英語 / 読むこと / 英単語認識 / 学習時間 / 語彙習得モデル / 英語文字指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小学校4~6年生児童の英単語認識における習得順序や、英単語認識に影響を与える要因を明らかにしようとするものである。鳥取県、岐阜県、滋賀県の公立小学校5校、計518名の児童を対象に英単語認識に関する「英語クイズ」を用いた調査を実施した。クイズでは、中村(2003)の多角的語彙習得モデル、金山(2021)の語彙知識処理過程モデルを基に、英単語認識における「音声と文字」「音声と意味」「文字と意味」の繋がりを問う問題を作成した。「音声と文字」では、英語の音声を聞いて綴りを選んだり、綴りを見て英語の音声を聞いて選んだりする問題、「音声と意味」では、「音声と文字」で出題した語彙を用いて、音声を聞いてその意味を表す日本語を選ぶ問題、「文字と意味」では、英語で表記した4つの単語のうちから一つだけ異なる種類の単語を選ぶ「仲間外れ問題」とした。 調査の結果、「音声と文字」「音声と意味」の繋がりでは、対象とした単語で「音声から意味」よりも「音声から文字」の正答率がいずれの学年でも高くなった。5,6年生ではどちらの正答率も8割を超えて差は見られなかったが、4年生では、両者の正答率が異なり、英語の音声を聞いて意味は分からないが単語の綴りを選ぶことができる児童が一定程度存在することが分かった。これは、児童の語彙習得では「音声から意味」の繋がりが強く最初に習得されるという先行研究とは異なる結果となった。 「文字と意味」の繋がりでは、「単語の意味」に注目する児童と、単語の長さや語頭の文字の違いなど、「単語の見た目や形」に注目する児童とが存在することが分かった。過去3年間の「仲間はずれ問題」の調査結果から、児童の総英語学習時間が増加するにつれ、単語の「形」から「意味」に着目する児童の割合が大きくなることが分かった。また、単語の種類によって「意味」「形」の着目度合いに差があることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学生を対象とした英語単語認識に係る調査を予定通り実施でき、その分析や昨年までの調査結果と合わせた考察も行うことができおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
小学生の英単語認識の過程について「音声と意味の習得」から「文字への気づき」が引き続き起こるとの一般的な習得の流れがこれまでも明らかにされてきている。しかし、今年度の調査結果からは、意味の獲得の前に「音声と文字のつながり」が出来上がる英単語の存在が明らかになった。今後のは、どのような単語が「音声と文字とのつながり」が起こりやすいのかを明らかにするための調査を実施する。また、「読むこと」「書くこと」の学習が学校授業で開始される前の段階でも、児童は何らかの形で英語で表記された単語の認識を行っていることが示唆されたことから、児童が英単語のどのような特徴に注目しているのかについても調査を進めることとする。さらに、児童の総英語学習時間と英単語認識の関係、また、学校外の英語学習有無が児童の英単語認識にどのように影響するのかについても分析し、それらを総合的に考察し本研究のまとめを行う。
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Causes of Carryover |
研究発表を行った学会や参加した学会がオンラインによる開催であったため、旅費等に使用する金額が減ったため。最終年度となる次年度は、研究分担者との連携や学会参加の数が増加することが見込まれるため、繰り越した予算が必要になるものと予想される。
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Research Products
(3 results)