2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on lexicon and grammar of Modern Written Chinese
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20K00905
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
石崎 博志 佛教大学, 文学部, 准教授 (30301394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | くぎり符号 / 正書法 / メタファー / 告知文 / レアリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナウィルスに関する文書と動画、および中国語のくぎり符号に関する2本の論文を発表した。 そのひとつ「疫病対策の比喩と表現 レアリアによる中国語教育の一環として(4) 」『日中語彙研究』 (10) は、Covid-19に関連する中国語表現を分析したものである。コーパスとしたのは連作短編動画《那个被感染了的急護士》と国務院がCovid-19(新型コロナウイルス)の疫病対策を総括した白書《抗撃新冠肺炎疫情的中国行動》で、その概念メタファーを分析した。その結果、〈伝染病は戦争〉〈治療は戦い〉〈ウイルスは敵〉という概念メタファーで表現されていることを論じた。また中国でCovid-19の感染防止を呼びかけた告知文“温馨提示” をとりあげ、そのプロソディの特徴について論じた。 もうひとつの「現代中国語におけるくぎり符号 “標点符号”について レアリアによる中国語教育の一環として(3) 」『佛教大学文学部論集』(105) は、現代中国語の文語(書面語)読解の基礎となる「くぎり符号」(中国語では“標点符号”)の用法について考察したものである。正書法がない日本語とは異なり、中国語では「くぎり符号」の用法が厳密に定められており、法律、公文書、契約書、論文、説明書など多くの公的文書に共通して適用されている。この中国語の「くぎり符号」は、日本語はもとより正書法を有する他の言語と比べても多彩な記号が用いられているが、それゆえに各記号に対応する日本語訳が定まっていない。本稿では、現代中国語の書面語に関する中国語教育の一環として、現代中国語のくぎり符号の規範の訳例を提示し、日本語との用法の違いを明らかにした。 上記のレアリアと中国語の「くぎり符号」を把握することが音読の際のプロソディ理解にもつながるだけでなく、中国語の書面語の理解につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画においては、中国および日本国内に出張し、中国の公文書や文語を反映したレアリアを収集・調査を行う予定であった。しかし、コロナウィルスの世界的な蔓延により、中国はおろか日本国内の出張もすることができず、研究の規模を縮小し、日本国内にいながらにして従事できる研究対象に変更することを余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
4月中旬の見込みでは、昨年度と同様に今年度においても出張などの行動が大きく制限されることになると予想される。よって、日本国内においてインターネットでアクセス可能なレアリアについて研究することになる。具体的には、中国語教育のみならず外国語教育でよく使われる歌詞をレアリアとしたものや、インターネット上の人生相談をコーパスとして扱い、それらに使われる言語表現について考察する予定である。
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Causes of Carryover |
当初は外国旅費および国内旅費として相応の旅費を計上していたが、コロナウィルスの世界的な大流行により、出張することができなかったため、次年度使用額が生じた次第である。今年度については中国本土においてコロナウィルスの流行が収まりつつあることや、ワクチンの接種といった新たな好転材料が見込まれ、状況次第では出張できる可能性がある。そうなった場合、改めて出張し、滞在期間を当初より延長する予定である。
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