2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00936
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安岡 健一 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (20708929)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自分史 / 歴史叙述 / オーラルヒストリー / 社会教育 / アーカイブ / エゴ・ドキュメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究面では国内調査を再開するとともに、学際的・社学連携的な成果が当初の計画を超えて得られた。以下、それぞれについて述べる。 研究面では①住民自身による地域史叙述についての研究をすすめ、(1)中部地方の「回想法」関係施設調査(2)九州地方における自分史活動の調査(3)1980年代に長野県下伊那地域で実践された飯田歴史大学について資料調査を行った。後者に関連して、伊那民俗研究所所蔵の、飯田歴史大学にも深く関与した後藤総一郎氏資料を調査した。本研究を通じて、地域史・自分史のつながりについて具体的な理解が深まり、最終年度の成果報告に向けて準備が進んだ。②長野県飯田市歴史研究所で取り組まれてれた聞き取りプロジェクトに関与し、その総説を執筆するために調査をおこなった。医療・看護・福祉・教育の歴史について整理し、個人の語りの意義について述べた。 社会貢献面として、①2020年度に参加したシンポジウムでの議論をきっかけに異分野の研究者から招待を受け、自分史に関心を持つ市民・社会教育関係者との交流を進めた。具体的には、関西の図書館関係者有志が組織する「関西多世代交流と地域共生のための図書館プロジェクト」による第12回研究会(後援:大阪大学社会ソリューションイニシアティブ)に参加し「自分史を書くということ」と題して報告を行った。本報告の結果、京都で地域高齢者の孤立を防ぐために「自分史」を語ることに取り組む団体と交流が進んだ。また次年度以後の図書館関係者との計画が立案された。②自分史と密接に関わりをもつオーラルヒストリーの保存にむけて、図書館関係者とメタデータの作成や、実際の資料保存の支援に取り組んだ。 2020年度には高齢化問題について国際学会で報告を実施したが、2021年度の研究活動を通じて、改めて「ケア」と歴史研究とが重なる領域について検討する必要が浮かび上がってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の元の段階では海外調査を実施する予定であったがコロナ禍により困難となった面では遅れているが、他方で当初の計画に含まれていなかった地域の住民および団体との関係構築が進捗したため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2021年度は、特に学際的・社学連携的活動を推進し、次期への発展的な継承につなげる。とくに図書館関係の地域資料保存とオーラルヒストリー・アーカイブ・プロジェクトでは研究会を継続的に持つ事に注力する。あわせて2021年度下半期には研究期間全体の調査結果については研究ノートとしてまとめることを目指す。 海外調査に関しては、引き続き機をうかがいつつ、調査先のコロナ感染状況によっては2022年度に延長実施する。
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Causes of Carryover |
コロナにより、元々の研究計画に組み入れていた海外調査および遠方の調査が立案困難になったために次年度使用額が発生した。最終年度に海外調査を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)