2021 Fiscal Year Research-status Report
Itagaki Taisuke's Perception and Guidance of the Political Party
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20K00942
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
真辺 美佐 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (80845066)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 政党 / 第二次伊藤内閣 / 第三次伊藤内閣 / 第一次大隈内閣 / 第二次山県内閣 / 内務大臣 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021(令和3)年度は、自由党と進歩党とが合同して誕生した憲政党時代の板垣退助の政党論と政党指導を中心に検討した。また第二次伊藤内閣の内相時代と第一次大隈内閣の内相時代の施策や政治論の比較・検討を試みた。従来の研究では、政党側にとって譲れない一線であった「地租増徴問題」で手を結ぶこととなった自由党と進歩党が、第一次大隈内閣(隈板内閣)崩壊前から、自由党系の星亨が主導する形で山県系との提携交渉を行い、第二次山県内閣期において、地租を五年間限定で地価の二・五%から三・三%に引き上げる地租増徴法案を成立させたと指摘していたが、そもそも憲政党・自由党系の事実上のリーダーであった板垣がこの時期どのような態度を示したのか、すなわち、星が山県系と提携交渉を進めている間、板垣がどのような意見のもと、どのような態度を示したのか、なぜ地租増徴法案に加担することになったのか、それまでの板垣の地租増徴絶対反対の姿勢とどのように整合性を付けたのか、不分明な点が多かった。そこでこの時期における板垣の姿勢を明らかにする作業を行い、目下、論文としてまとめている。 以上の検討のために、山県有朋に関する研究書や論文、史料を購入し、読み進め、他方、『自由党党報』『進歩党党報』『憲政党党報』、デジタルで公開されている「龍野周一郎日記」『監獄雑誌』『大日本監獄協会雑誌』等を読み進めた。 このほか、激化事件研究会の招待により、8月、中元崇智『板垣退助』(中公新書、2020年)の書評を行うこととなり、同会で板垣研究に関わる議論を重ねた。なお同会で発表したものは、圧縮して『秩父』205(2021年11月)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021(令和3)年度は、家族の病気の看護で時間を取られ、またこのコロナ禍の状況もあり、史料調査に協力的な高知市立自由民権記念館やオーテピア高知図書館ですら調査を行うことができなかった。 海外での史料調査も以上の私的事情に加え、コロナ禍にあり依然全く行えていない。 また2021年度は、ワクチン接種の副反応が重く、計2週間寝込み、そのほか体調不良が続いてしまったことでも、研究がやや遅れてしまった原因となった。 そのようななかでも、使える時間を最大限駆使しながら、国立国会図書館憲政資料室がデジタル資料として公開した「龍野周一郎日記」、公益財団法人矯正協会矯正図書館がデジタル公開する『監獄雑誌』『大日本監獄協会雑誌』等資料を読み進め、憲政党時代の板垣の政党論と政党認識、二度にわたる内務大臣の動静を明らかにしようと努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021(令和3)年度、家族の病気、死去により、2022(令和4)年度は、少しは落ち着いて研究に取り組めると予測する。コロナ禍の状況が好転すれば、2020年度・2021年度に実施予定であった史料調査を何よりも優先して行いたい。まず現在渡航できない台湾の国家図書館や台湾大学図書館、そのほか国立国会図書館、宮内庁書陵部、2021年度に開館した明治新聞雑誌文庫での調査を積極的に進めていければと考えている。 そのうえで、一冊の本に纏めることを視野に入れながら、引き続き憲政党時代の板垣の政党論と政党認識、立憲政友会成立前後の板垣の政党論と政党活動、いわゆる政界引退とされるその後の板垣の動向を検討していきたい。
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Causes of Carryover |
2021(令和3)年度は、家族の病気の看護で時間を取られ、またこのコロナ禍の状況もあり、史料調査に協力的な高知市立自由民権記念館やオーテピア高知図書館ですら調査を行うことができなかった。また海外での資料調査も以上の私的事情に加え、コロナ禍にあり依然全く行えなかった。ただ家族の死去により、2022(令和4)年度は、少しは落ち着いて研究に取り組めると予測される。さらにコロナ禍の状況が好転すれば、2020年度・2021年度に実施予定であった、台湾の国家図書館や台湾大学図書館、そのほか国立国会図書館、宮内庁書陵部、2021年度に開館した明治新聞雑誌文庫での調査を積極的に進めていければと考えている。
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