2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00958
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
簗瀬 大輔 群馬県立女子大学, 群馬学センター, 准教授 (90822924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古墳景観 / 古墳史料 / 領域認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は古墳の二次的利用に関する事例を収集し分析することで、古代から現代までの地域社会の形成・維持を古墳(マウント状遺構)との関わりにおいて解明するすることを目的としている。 研究活動の方法は、第2年度である本年度(2021年度)も初年度(2020年度)に引き続き、古墳の履歴書研究会(15名)による古墳景観に関する実査と史料調査、研究報告会、巡検を実施した。古墳景観に関する実査と史料調査は群馬県内古墳にかかわる30件程度の事例を収集することができた。研究報告会は第2階(2021.9.18)、第3回(2021.12.4)、第4回(2022.1.29)、第5回(2022.3.5)の計4回を実施した。巡検は第1回(群馬県安中市・高崎市/2021.8.15)、第2回(群馬県邑楽郡千代田町/2021.12.5)を実施した。 事例研究を進める中で、①古墳(遺跡)に適用する景観概念の検討、②古代社会における古墳と陵墓への認識のあり方の検討、②古墳景観と中近世の交通(道路・宿場・河川)との関係性の検討、③古墳景観と中世村落の領域認識の関係性の検討、④近代社会における古墳認識の変容に関する検討、などを軸に論点・課題の整理を行うことができた。 今年度の研究成果はポスト古墳時代の古代から現代に至るまで、通時的なスケールで古墳の二次利用の状況と、断片的ではあえるが各時代の古墳認識のあり方を押さえることができた点にある。また、地域社会の形成の画期に、古墳あるいはマウント状遺構が土木構造物として再利用されることはその現代の景観からも可視的に類推することができた。ただし、本研究が解明しようとする課題の重要な観点は認識論である。この点をさらに掘り下げようとするならば、地域社会の形成期である近世史料の博捜が重要になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は古墳の履歴書プロジェクトと称し、古墳の履歴書研究会のメンバー15名を研究協力者として実施している。3年計画中の2か年度で基礎調査を実施し、古墳の二次利用の状況を実査した「古墳の履歴書調査票」を70件程度収集する計画であった。これについては、2か年終了時点で52件の収集に止まっているが、コロナ感染症蔓延の影響もあって調査を行うことができなかったので、概ね順調と言える。また、基礎調査に基づき、15名名可11名の研究協力者の研究報告を行い、議論を深めることができた。初年度はやはり感染症の影響もあってほとんど研究会を開催することができなかったが、2か年目は改めて計画をし、順調に実施することができた。他に基礎調査を補う意味で、2回の巡検(群馬県安中市・高崎市方面、太田市・千代田町方面)を実施した。なお、コロナ感染症蔓延の影響で、研究協力者(最大15名)と関西方面に計画していた実査・巡検を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は、引き続き古墳の履歴書研究会のメンバー15名を研究協力者と次の活動を実施し研究を完結させる。 ①基礎調査の継続 /2か年度目までに実施することができなかったおよそ20件の基礎調査を8月までに実施、「古墳の履歴書調査票」の収集を完成させる。群馬県外の古墳の二次利用と景観に関する巡検を8月に実施する。 ②重点調査の実施/特定村落を対象とした古墳景観の重点調査を8月までに実施するとともに、その成果に基づいた公開研究会を10月に開催する。 ③調査報告書の作成/「古墳の履歴書調査票」の集成と重点調査の成果を含め、研究の総括をする報告書を12月までに作成する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症蔓延の影響で、研究協力者(最大15名)と関西方面に計画していた実査・巡検を実施することができなかったため。
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