2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K00958
|
Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
簗瀬 大輔 群馬県立女子大学, 群馬学センター, 教授 (90822924)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 古墳の二次的利用 / 古墳の二次的あり方 / 文化的景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は過去3年度に実施した古墳の履歴調査を集成し、古墳の二次的利用・二次的あり方を類型化した。その結果、本研究において古墳の二次的利用・二次的あり方の類型的理解として仮説的に前提としてきた次の4類型が、地域古墳(地域の中で活かされて古墳)に由来する文化的景観の意味と価値を捉える指標として有効であることが確認できた。 〈A類型:交通機能・地域拠点・生活拠点としての利用とあり方〉古墳を一里塚やランドマークのように交通施設として転用したりする場合、中世の城館の一部に転用したり、近代の軍事施設として利用されたり、火の見台を設置して防火・消防施設として機能しているような場合、墳丘を宅地や庭園に、石室を住居や物置などに利用しているような場合を言う。 〈B類型:生産手段・資源としての利用と利用〉墳丘上の森林を用益林として計画的に管理したり(古墳林)、草地や茅場として利用したり、さらに墳丘面を畑地や果樹園として再開発したり、周濠を水田・灌漑施設としての利用したりする場合を言う。石室を畜産施設として利用したり、作物や蚕種の貯蔵、醸造施設としての利用したりしている場合もある。古墳築造の資材である石材や土砂が土木資材として再利用される事例は実に多い。 〈C類型:公共的な場としての利用とあり方〉公共的な場とは、公衆に向けての記念・顕彰の場、開かれた公園や広場、名所や眺望・観光との関連付け、学校や公民館などの公共施設、天皇・皇室との関連付け、災害対応の場としての利用などがある。 〈D類型:象徴的・神聖的・異界的・境界的な場としての利用とあり方〉社殿・堂宇、供養塔、墓域、神話・伝説、祭礼の場として認識され機能している場合である。多くの場合、勧請された神仏の名が古墳名に反映されることになる。また、古墳だけでなく、石室も重要な構成要素となっており、「穴」にちなむ伝承や禁忌も多い。
|