2020 Fiscal Year Research-status Report
古代~中世荘園史の再構築―土地証文の継承と荘園形成の実態解明―
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20K00959
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鎌倉 佐保 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60468824)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 荘園 / 開発領主 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)土地証文・荘園関係文書の作成・継承の実態解明のための文書目録等の史料の収集、(2)「開発領主」関係史料の分析と「開発領主」の実態解明のための史料の収集を中心におこなった。 (1)については、すでに把握している土地証文・荘園関係文書のほか、東大寺・醍醐寺領など、平安末期~鎌倉期に作成された荘園文書目録・注文類について、網羅的な収集とデータベース化をおこなった。ただし、covid-19の影響により、当初予定していた史料調査・現地調査をおこなうことができなかったため、刊行されている史料集、雑誌等で紹介された史料、東京大学史料編纂所架蔵の写真帖、謄写本、影写本、その他所蔵機関がインターネットで公開している画像による調査となった。 (2)については、①平安期の荘官(多くは公文)が所持した文書の調査・確認と分析、②「開発領主」文言のある史料の収集、③「開発領主」の由緒を語る相承系図や下司職・公文などの荘官が伝えた相承系図などの系譜史料の調査・収集をおこない、文書の伝来について情報の収取と分析をおこなった。 さらに、以上の史料収集と並行して(3)史料上の「開発領主」と研究概念としての“開発領主”、そして開発者の実態について、史料の整理と分析をおこなった。これについては、荘園制成立史における“開発領主”の位置づけ、高等学校日本史教科書における“開発領主”の説明の問題も含めて、整理と分析をおこない、発表の準備をおこなった。なお、これは2020年5月31日に予定されていた学会にて口頭報告を予定していたが、covid-19により学会が中止(延期)となったため、現段階では未発表である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
刊行されている史料集による史料収集についてはほぼ予定通り進めているが、写真帖による調査、原本調査については、はCOVID-19の影響により不十分であったり、実施することができなかったりして、遅れが生じた。また発表予定であった研究会の中止によって、発表が延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もCOVID-19の影響により史料の原本調査が十分行えない可能性があるが、現状で可能な方法での調査に切り替えるなどして進めることとしたい。なお現地調査については、感染防止の対策をとって可能な限り実施したいと考えているが、感染状況によっては現地調査は中止し、史料分析を中心に研究を進めていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
予定していた史料調査、現地調査がCOVID-19のためできなかったため、旅費および調査のためのデジタルカメラ等の機器の購入費用を使用しなかった。昨年度予定していた調査は本年度以降に実施することを計画している。
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