2022 Fiscal Year Research-status Report
明治~大正期民衆の天皇受容に関する研究 -御猟場を事例に-
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20K00966
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
吉岡 拓 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (50733309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮間 純一 中央大学, 文学部, 教授 (10781867)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 江戸川筋御猟場 / 春日部 / 越ケ谷 / 千波湖御猟場 / 仙波湖 / 風致保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査は、仙台(涌谷御猟場)、前橋(赤城御猟場)、宇都宮(日光御猟場)、水戸(千波湖御猟場)、春日部・越ケ谷(江戸川筋御猟場)、沼津(愛鷹山御猟場)、京都(京都御猟場)で実施した。このうち、江戸川筋御猟場については、宮内庁・春日部市・春日部市教育委員会共催企画展「明治天皇と春日部~巡幸・御猟場・梅田ごぼう~」の関連シンポジウムにおいて調査結果の一部を報告し、またその内容を基に、「江戸川筋御猟場から見る明治期日本の地域社会と天皇・天皇制」(以下、第1論文)と題する論考を『埼玉地方史』に寄稿した(公刊は2023年度中)。千波湖御猟場については、「千波湖御猟場について-風致保存のための御猟場の誕生-」(以下、第2論文)とのタイトルで論文を所属大学の紀要に発表した。 以下、発表した2論文の概要を説明する。第1論文では、明治期の江戸川筋御猟場での鳥害の拡大等に対する住民の反応と、それに対する行政の対応について検討した。埼玉県や郡の官吏は、鳥害の拡大で運営法の改善や御猟場指定の解除を求める住民達に対し、御猟場の継続は天皇への忠誠である、との主張を展開して事態の鎮静を図った。かかる主張は、宮内省が発給した文書類には見ることができず、その点で、県や郡の官吏が独自に作り出したものと評価できる。 第2論文では、明治16年という時期に千波湖御猟場が設置されたことの歴史的位置について検討した。千波湖が所在する水戸は、東京からは距離があり、皇族や政府要人、外国公使らの遊猟には適さない。にもかかわらず水戸に御猟場が設置されたのは、偕楽園・常盤神社に隣接する千波湖の景観を保存するためであった。千波湖御猟場の設置以降、宮内省は風致保存の一手段としてしばしば御猟場を設置し、また地域社会からもそれを求められるようになっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大にともなう移動制限が緩和された結果、ようやく本格的な調査研究が可能となった。事実上の研究1年目であり、科研費申請時の研究計画よりも多くの調査を実施し、また複数の研究成果を出せたことから、「当初の計画以上に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は再開できたが、当初計画では2022年度が研究完了年度であり、研究計画全体としては遅れていると言わざるを得ない。 延長課題となった2023年度は、当初計画では21年度に実施予定であった点を中心に調査研究を実施していく。また、可能であればもう1年延長し、2024年度の研究完了を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大に伴う移動制限のため、2020年度、21年度には調査研究をほとんど実施することができなかった。そのため、両年度分の予算のほとんどを執行できなかったことが、次年度使用額(課題延長)が生じた理由である。 2023年度は、仙台、宇都宮、春日部・越ケ谷、沼津、京都での調査を継続実施し、また新たに福島(岩瀬御猟場)、伊豆(天城御猟場)、岐阜(長良川筋御猟場)、富山(神通川御猟場)での調査を実施する。
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Research Products
(3 results)