2023 Fiscal Year Annual Research Report
大阪湾からみる幕末政治・外交史の研究―幕末通史像の刷新に向けて
Project/Area Number |
20K00987
|
Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
後藤 敦史 京都橘大学, 文学部, 准教授 (60710671)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 大阪湾 / 摂海 / 幕末政治 / 幕末外交 / 海防 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究活動として、まずはワシントンDCでの史料調査が挙げられる。新型コロナの感染拡大により、2020年度の研究課題開始以後、なかなか海外で史料調査を実施する機会に恵まれなかったが、ようやく2023年8月に実現できた。アメリカ国立公文書館では、アメリカ海軍によって作製された大阪湾の海図を調査した。1868年の大阪開港の前後に作製された一群の海図は、当該期の大阪湾の実情が表現されている。この史料調査の研究成果に関しては、すでに研究ノートのかたちでまとめており、学術雑誌での公表を予定している。 また、研究成果の発信も重視し、2023年9月9日には、東アジア近代史学会の研究例会で「大阪湾を守る/攻める―大阪湾からみる幕末政治・外交史」と題して発表を行った。また、2023年12月1日には、京都アスニーにおいて「京都を守る大阪湾―海防から読み解く幕末政治」と題して講演をおこない、社会への研究成果の還元にも力を入れた。 本研究課題は、大阪湾というフィールドを軸にして、幕末政治史・外交史の再検討を試みることを最大の目標としていた。上記のように新型コロナ感染拡大によって研究開始から2年ほどは計画通りの研究が難しかったものの、国立公文書館、福山市歴史資料室、鳥取県立博物館、松戸市戸定歴史館など、国内の文書館での調査を重点的に進め、あわせて購入可能な海外の文献の収集に努めることで、実施計画にできるだけ沿った研究を心掛けた。2021年には日本史研究会の大会で本研究課題に関わる学会発表を行い、それをともに2022年に論文を発表するなど、着実に成果を挙げることもできた。 なお、上記のワシントンでの調査を通じて、明治以降の大阪の開港に関しても新たな研究の可能性を実感することができた。本研究課題を活かし、明治以降も視野に入れた研究に今後つなげたい。
|