2021 Fiscal Year Research-status Report
A History of Conservative Journalism in postwar Japan: Differences and Transformation of Yomiuri and Sankei
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20K00993
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
竹川 俊一 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80550326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジャーナリズム史 / メディア史 / 日本戦後史 / メディアと政治 / 全国紙 / 保守主義 / 日本国憲法 / 歴史観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1950年代から90年代にかけて読売新聞と産経新聞の社説と報道記事を検討し、かつ経営・編集幹部らの言動や時代背景を参照することで、これまで系統立った研究がない全国紙における戦後保守ジャーナリズムの思想の多様性と変遷を明らかにし、発展途上の戦後ジャーナリズム史研究への貢献を目指す。 令和3(2021)年度は、2紙の終戦記念日(8月15日)の社説を中心に分析を行い、その成果として2022年3月に開催されたAssociation for Asian Studiesの2022 Annual Conferenceで論文を発表した。論文タイトルは「How Differently Yomiuri and Sankei Shinbun View the Sino-Japanese and Asia-Pacific War: A Study of the Pacifism and the Commemoration of War Dead Embraced by Conservative Newspapers in Japan」であり、2紙の戦争観や歴史観の違いを論じた。2022 Annual Conferenceは米国ホノルル市で開催されたが、コロナ感染状況を考慮してオンラインによる発表とした。この学会の後に米国テネシー州ナッシュビル市で開催されたInternational Studies Associationの2022 Annual Conventionでも2紙の戦後憲法観に関する論文を発表する予定だったが、オンライン発表に変更することが不可能だったため、発表をキャンセルした。 また2021年12月に立命館アジア太平洋大学で開催された国際学会2021 Asia Pacific Conferenceで2紙と朝日新聞の外交政策論の違いに関する論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍、東京における文献収集が滞ってしまった。コロナ感染を避けるため、必要な文献を所蔵する図書館の利用が限られたためである。例えば、研究対象である産経新聞の1992年9月以前の社説と報道記事を収集するには、東京の国会図書館でマイクロフィルム化された産経新聞の紙面を見る必要がある。また産経新聞の1992年9月以降の社説や報道記事を収集するためには、産経新聞のデータベースを利用するため、東京の国会図書館や都立図書館を利用する必要がある。しかしながら、コロナ感染を避けるために東京への出張回数が限られてしまった。 東京出張ができなかった令和2(2020)年度に続いて、2021年度も東京出張は難しかった。コロナ感染者数が減少した際に東京に出張したが、国会図書館における文献収集は2021年12月の1回のみだった。ただし、2021年6月には東京都立中央図書館において、産経新聞のデータベースで社説と記事を収集した。可能であれば、7,8回程度は東京出張をしたかった。 国会図書館における文献収集の機会が限られたため、産経新聞と読売新聞の経営・編集幹部に関する文献の収集も滞ってしまった。幹部に関連する書籍に関しては、オンラインで購入、収集したものもあるが、収集できたものは限られている。一方、週刊誌や月刊誌が過去、発表した産経新聞や読売新聞に関する記事も収集したかったが、国会図書館などに行く回数が限られたため思うようには収集できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で思うように文献収集ができなかったため、令和2(2020)年度に予定していた2紙の憲法観と国家観の研究と、令和3(2021)年度の2紙の戦争観と歴史観の研究も、令和4(2022)年度においても継続していく必要がある。一方、当初の予定に基づき2紙の中国観と韓国観の研究も実施する必要がある。中国観と韓国観とは、2紙が中国と韓国を巡る外交関係や外交問題を社説でどう論じ、どう報道したかである。 東京の図書館における文献収集の可否が推進状況に大きな影響を与えるが、今後の事態の好転を期待するのみである。現在、コロナ感染者数が大きく減少してはいないものの、ワクチン接種の推進などコロナ対策の進捗が進んでいるので、東京の図書館における文献収集も進むように思われる。 ただし、コロナ禍で2年間の研究が思うように進まなかったため、この遅れは令和4(2022)年度のみならず、令和5(2023)年度にも影響を与えるだろう。つまり2年間を費やして、遅れを取り戻すしかないようである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、文献収集のための出張が思うように出来なくなり、かつ、学会発表がオンライン発表なり出張しなかったことが、主たる理由である。2022年度における文献収集のための出張は回数を増やし、文献収集を進めたい。学会発表も増やしたいが、海外出張の場合、先行きは不透明である。
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