2022 Fiscal Year Research-status Report
A History of Conservative Journalism in postwar Japan: Differences and Transformation of Yomiuri and Sankei
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20K00993
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
竹川 俊一 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80550326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジャーナリズム史 / メディア史 / 日本戦後史 / メディアと政治 / 全国紙 / 保守主義 / 防衛問題 / 日朝関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1950年代から90年代にかけて読売新聞と産経新聞の社説と報道記事を検討し、かつ経営・編集幹部らの言動や時代背景を参照することで、これまで系統立った研究がない全国紙における戦後保守ジャーナリズムの思想の多様性と変遷を明らかにし、発展途上の戦後ジャーナリズム史研究への貢献を目指す。研究テーマは、1)憲法観と国家観、2)戦争観と歴史観、3)中国観と韓国観、4)キャンペーン報道で、保守系2紙の社説を中心に報道記事も分析し、それぞれのテーマで時系列の変化を追い、戦後の全国紙の「保守」を考察することを予定している。 令和4(2022)年度においてもコロナ禍が続いていたものの、研究者自身のワクチン接種が進んだことでコロナ感染の恐れが減り、前年度に比べて東京・国立国会図書館へ出張することに躊躇することが少なくなった。これにより、産経の社説や報道記事の収集、その他の文献収集を進めながら、第1と第2のテーマのフォローアップを行った。ただし、国外でのコロナ感染を避けるため、海外出張は中止した。第2のテーマに関連して、読売と産経が広島と長崎の原爆と戦後の世界の核兵器開発についてどのような考えを持っていたかを探るため社説分析を行い、その暫定的な成果を2022年12月に立命館アジア太平洋大学で開催された国際学会Asia Pacific Conference 2022で発表した。また、1959年に検討・開始された北朝鮮帰国事業(日本政府が在日朝鮮人による朝鮮民主主義人民共和国への「帰国」を援助した事業)を読売と産経がどう論じ、どう報じたかに興味を持ち、社説と報道記事の収集を行い、分析を開始した。この研究は保守系2紙の韓国観に関連づけるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究のためには、データベース化されていない産経新聞の1950年代から1990年代の紙面を、東京の国立国会図書館が所蔵するマイクロフィルムで見て、必要な社説や報道記事を探し、大量にコピーする必要がある。コロナ予防接種の回数を重ねることが可能となり、前年度よりも多く東京出張を繰り返すことができ、国立国会図書館を訪れることができたものの、前年度までのコロナ禍による遅れを取り戻すには至らなかった。 一方で、1959年に開始された北朝鮮帰国事業に関する調査を追加したため、このテーマのための社説と報道記事の収集と、関連する文献である雑誌記事や書籍の収集も実施した。このための遅れも発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5(2023)年度が研究計画の最終年度となる。幸いにも令和5年度の後半(秋セメスター)は研究休暇がとれたため、研究に集中できることとなった。これまで思うような成果を出せていない状況をここで取り戻したい。第1テーマである保守系2紙の「憲法観と国家観」と第2テーマである「戦争観と歴史観」をまとめあげ、査読付き学術誌に提出する。一方、第3テーマである保守系2紙の「中国観と韓国観」に取り組む。新たに加えた「北朝鮮帰国事業」に関する調査も論文にまとめたい。 ただしコロナ禍で大きな後れをとったため、研究期間の1年度分の延長も検討している。
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Causes of Carryover |
令和2(2020)年度から始まった研究プロジェクトだが、コロナ禍と重なり、初年度から思うように資料収集のための出張ができなかった。かつ、研究発表のための出張もできなかった。そのため予算の繰り越しが続いているため、思うように予算を執行できていない。令和4(2022)年度はコロナ予防接種も回を重ねることができ、出張も複数回できたが、それでも予算執行の遅れを取り戻すには至らなかった。最終年度である令和5(2023)年度は、秋セメスターに研究休暇を取得するので、研究に集中できる環境となるため、ある程度の後れは取り戻せる見通しである。次年度使用額は、研究休暇中に集中して出張し、資料収集するために使用する計画である。
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Research Products
(1 results)