2022 Fiscal Year Research-status Report
19世紀ジャワ島「強制栽培制度」の史的構造-グローバルな動向と地域社会の関り
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20K00999
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大橋 厚子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (80311710)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強制栽培制度 / 生存基盤確保型発展径路 / 華人商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020-2022年に公刊された杉原薫・田辺明生両氏の発展径路論、加納啓良氏のインドネシア史に関わる著書より、前近代から2020年代までのジャワ島を中心とするインドネシア史の大枠を得ることができた。この大枠を用いて、研究入門としても利用できる概説として1 4世紀ごろから現在に至るインドネシアの歴史の中に強制栽培制度実施期(1830-1880)社会変化を位置づける試みを開始した。14世紀から18世紀までの中国と東南アジアについて国際環境と貿易に絞った概説の章、19世紀前半ジャワ島内の銅貨循環と華人商人の役割を検討する章、ジャワ島周辺の貿易環境を検討する田稿を執筆した。 またこれらの作業から、本科研終了後の次の段階である実証研究の対象地域を絞り込むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の終わりまでに科研報告書を執筆するための2年間の仕事のうち、報告書の枠組みを作る作業はほぼ終わり、さらに各章の執筆も半分以上を終わっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年の執筆部分と本年度の執筆部分を専門の近い研究者と議論しつつ、強制栽培制度実施期(1830-1880年)ジャワ島の社会変化に関する先行研究の検討を主体とした科研報告書を2023年度に完成させる計画である。執筆については2022年度に書き上げた章に加えて、ジャワ島の貿易環境に関する章およびオランダ政庁の地方官僚制の展開を執筆する予定である。 さらに、予測の難しい天災・人災が頻繁に起きる現在の日本の状況に鑑み、強制栽培制度実施期ジャワ島の人々の変化への対応を材料として、大学学部生が日本の現状を生活の安全保障について相対化して考えることができる工夫をする。
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Causes of Carryover |
2022年度中に研究計画変更をして支出予定額が減少したうえ、依然としてコロナ禍で高齢者のために遠距離の出張を控えた。さらに22年度後半に発注した物品・サービスの支出が23年度の支払いとなった。 2023年度の主な支出は科研報告書の公刊にかかる費用、および旅費であるので、残余額の返還を予定している
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Research Products
(2 results)