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2022 Fiscal Year Research-status Report

伝統中国の官僚体系の継承と変質ー南宋時代の人事政策と下級知識人ー

Research Project

Project/Area Number 20K01003
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

小林 晃  熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80609727)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 徳永 洋介  富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10293276)
丸橋 充拓  島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (10325029)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords官僚制度 / 唐宋 / 北宋 / 南宋
Outline of Annual Research Achievements

2022年度は前年度までと同様、新型コロナウィウルス感染症が流行するなかで研究計画を進めなければならず、そのため本研究の当初の予定であった対面での会読会を実施することはできなかった。しかし1ヵ月から2ヵ月ごとにZoom形式での会読会は開催しつづけており、研究自体は進展している。
こうしたなか、研究実績としては徳永洋介・丸橋充拓が『岩波講座 世界歴史』07(岩波書店、2023年)にそれぞれ1篇の論考を発表したことが特筆される。このうち丸橋充拓「唐後半期の政治・経済」は、唐代後半における政治・財政制度や社会の変動を論じたものであり、中央・地方の政治的変動を学術的に解説するのみならず、高校教科書に書かれた事項が最新の研究成果によっていかに覆されたかを分かりやすく論じるなど、研究成果の社会へのフィードバックを意識したものとなっている。また本研究のメインテーマと密接にかかわる藩鎮(節度使・観察使)についても論じられており、本研究の成果が活かされている。
対して徳永洋介「宋代官僚制の形成―元豊官制の歴史的意義―」は、宋代政治制度の一大画期となった元豊官制について、それが施行された歴史的背景や、それによってもたらされて変化について論じたものである。元豊官制はその後の元朝・明朝・清朝の官僚制度の雛形になったにもかかわらず、従来正面から論じられることが少なかったといえる。本論考はまさに現代の日本の宋代史研究の到達点を示すとともに、今後の研究の行くべき到達点をも見通すものであり、きわめて重要である。本研究にとっても基礎とすべき研究成果であり、2023年度の研究成果に反映されるものと思われる。
また小林晃は、近年の中国の南宋中期についての政治史研究の問題点を分析する論考を執筆し、『唐宋変革研究通訊』14輯に掲載された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究に参加している研究者は、小林晃が熊本大学、丸橋充拓が島根大学、徳永洋介が富山大学と相互にきわめて遠隔の研究機関に所属しているため、新型コロナウィルス感染症の影響で、東京大学で定期的に対面での研究会・会読会を行うことができないのはやはり研究の進捗状況を大きく遅らせる原因となっている。
また研究協力者であった東北大学名誉教授の熊本崇先生が2022年12月に急逝されたことも、本研究にとってきわめて大きな打撃の一つであった。熊本崇先生はこれまで政治制度の変遷過程についての見取り図の提示や、難解な史料読解の際に最も大きな力を発揮されており、現在のところ代替を務められる者は存在しない。今後の研究を進めるうえで、この点が大きな困難となっていることを特筆しておく。
2023年度は可能な限り対面での会読会を行い、また日々の業務のなかで史料に向き合う時間をより多く確保するようにし、遅れを取り戻せるようにしたい。
進捗状況としては、『慶元条法事類』についての読解が進展しているが、各条の法律条文一つ一つを解読すると、その分それぞれの条文が施行された歴史的背景をさらに明らかにする必要が生じるなど、読解を進めれば進めるほどさらなる研究の必要性が痛感されるに至っている。また同時に進行している『大唐六典』の吏部についても読解が進んでおり、宋代官僚制度との継承関係についてなど、新たな研究テーマも生まれつつある。2023年度においては、より具体的な石刻史料などを用いて、南宋後期の官僚の昇進ルートを確認するなどの作業が必要になるかもしれない。

Strategy for Future Research Activity

本研究の当初の目標は南宋後期の制置使制度の幕僚人事から、当時における知識人層の増大やその幕僚制度を利用しての官界への進出がいかなるものだったかを把握し、そこから当時の士大夫・士人層の拡大を明らかにすることにあった。しかし史料読解が進展した結果、南宋後期よりも前の南宋前期や中期の制度が、北宋からいかに継承されていたのかについてより注目すべきではないかと考えるに至っている。とくに南宋前期はその後の南宋政権の基礎を形作った重要な時期であるにもかかわらず、官僚制度や人事制度の知見がいまだ深められておらず、現状のまま南宋後期の研究を進めても限界があるように思える。その南宋前期の制度は、また北宋以来の歴史の流れを汲んでおり、北宋時代の対西夏戦線で表面化した問題点やそれによって推進された軍制改革の影響をも考慮に入れる必要がある。本年度は、史料読解を続けつつも、南宋前期・中期により注意を払った研究を行うべきであろう。
もう一つは、南宋後期についての現存する文献史料が少ないため、それを克服するために墓誌銘などの石刻史料を積極的に活用することを進めるべきであろうと思われる。幸いなことに『宋代新出墓誌碑刻輯録』が出版され、南宋時代についての新出墓誌についてもある程度は把握できるようになっている。また南宋人の墓から出土した『徐謂礼文書』からは南宋後期の人事制度の細部を知ることができる。墓誌から抽出した人事の実例と、『徐謂礼文書』から判明した人事制度とを組み合わせ、いかなる知見を得ることができるのかという試みを進めていきたいと思う。

Causes of Carryover

本研究は、参加している研究者同士が定期的に東京大学に出向して史料の会読会を行い、それによって研究を進めることを前提として予算を設定していた。ところが2020年以来の新型コロナウィルス感染症の流行により、公共交通機関を使って東京大学に出向くこと自体を控えなければならない事態に立ち至った。次年度使用額が生じたのは、予算が主に旅費として使用することが想定されていたからである。2023年度は、状況が許せば東京大学での史料の会読会を復活する予定である。また近年の国際的な物価上昇により、書籍代などが高騰している。中国から出版される大型書籍を購入することを考えると、予算の残額は2023年度中にほぼ使い切ることになる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Journal Article (3 results)

  • [Journal Article] 宋代官僚制の形成―元豊官制の歴史的意義―2023

    • Author(s)
      徳永洋介
    • Journal Title

      (書籍)『岩波講座 世界歴史―東アジアの展開 八~一四世紀―』

      Volume: 7 Pages: 201-217

  • [Journal Article] 唐後半期の政治・経済2023

    • Author(s)
      丸橋充拓
    • Journal Title

      (書籍)『岩波講座 世界歴史―東アジアの展開 八~一四世紀―』

      Volume: 7 Pages: 51-79

  • [Journal Article] 南宋寧宗朝政治史研究の前進のために2023

    • Author(s)
      小林晃
    • Journal Title

      唐宋変革研究通訊

      Volume: 14 Pages: 103-127

URL: 

Published: 2023-12-25  

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