2023 Fiscal Year Research-status Report
Administrative Reform in the Three Northeast Provinces during the Late Qing Reform
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20K01009
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
閻 立 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30434781)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 東三省の建省改制 / 中央官制改革 / 各省官制改革 / 徐世昌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1907年の東三省の建省改制の過程を考察する。清王朝の発祥地である東三省では、清末新政の改革に伴って、内地と同様の行省体制が導入された。その経緯と、結果および影響について究明するものである。 昨年度までの成果を踏まえ、2023年度の研究成果は、主に次の2点である。 1点目は、東三省の建省改制について、中央官制改革と各省官制改革との関係の分析を行った。1906年9月、清朝政府は立憲制の導入に先立って中央で官制改革を行い、中央集権を強めた。一方、張之洞などの地方官僚は省の官制改革に対して消極的な意見を示したので、各省の官制改革は難航していた。そこで、清朝政府は各省の見本として、まず行政組織が複雑ではない東三省で官制改革を行うことを決めた。ゆえに東三省の建省改制は、日露戦争以後の東三省の善後策のみではなく、立憲制導入の一環という側面を持っているといえる。 2点目は、東三省総督の徐世昌が主導した奉天省、吉林省、黒龍江省の官制改革の内容を分析し、その結果と影響を検討した。これまで内地の総督と巡撫は同級関係であるが、徐世昌はそれを上下関係に変更し、総督を最高権力者と定めた。また以前から問題視されていた職務の重複に因り非効率な「布政司」の職位を廃止し、内地各省とかなり異なる官制を設けた。このような東三省の官制は中央の官僚層には反対されたが、朝廷は静観をしていた。「総督集権」の東三省の行政体制を静観したのには、やはり東三省が直面していた日本とロシアの対外的問題が強く影響していたといえよう。結局、東三省の官制改革は各省の見本にはならなかったのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの完全収束によって、各図書館での調査は基本的にコロナ前と同様になった。資料の整理などもおおむね順調に進展している。そして、日本と中国で研究報告をし、フィードバックをもらって、論文を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度となるため、研究課題のまとめに力を入れて、研究成果は日本と中国で報告し、論文として公表できるよう努力する。
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Causes of Carryover |
研究期間初期にコロナにより出張での文献調査などが滞った分未使用額が生じてはいるが、 最終年度は、資料整理・分析や成果発表のために使用する。
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