2021 Fiscal Year Research-status Report
Reconsideration of the control of different races through conciliation in the Tang dynasty by carved historical materials
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20K01010
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森部 豊 関西大学, 文学部, 教授 (00411489)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 羈縻支配 / 羈縻州 / 唐朝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、唐朝の羈縻支配の時期と地域による差異に留意しつつ、4年計画で、その全体像を解明していくもので、2021年度は2年目に相当する。 2021年度の研究計画は、唐朝の西南や南方の諸種族に対する羈縻支配の検討をおこなう2年計画(2021年~2022年度)の1年目であった。そのため、編纂史料の整理と四川・雲南・広西に存在する石刻史料を通じ、この方面の羈縻支配の実態をうかびあがらせ、北方の羈縻支配との差異を明かにしようとした。この地域で、20世紀後半に出土した「爨守忠墓誌」「助教鮮君墓誌」(四川省成都市)、伝存石刻史料の「南詔徳化碑」「王仁求碑」「段部会盟碑」(雲南省大理市)、「智城碑」「堅固大宅頌」(広西壯族自治区上林県)が調査対象で、まず海外調査の準備作業として、日本で得られる石刻史料の情報をもとに釈文を作成し、3年かけて、現地に赴き、その釈文と原碑もしくは拓本との照合作業を行う予定であった。 しかし、新型コロナウイルスの感染状況により、中国への渡航は許されず、実地調査は延期状態となり、今のところ、見通しが立たない。そこで、21年度は、唐朝の東北面での「羈縻支配」をまとめることとし、その成果を「唐朝の羈縻政策に関する一考察-唐前半期の営州都督府隷下「羈縻府州」を事例として―」(『東洋史研究』80-2)として発表した。 また、唐朝の西方ではイラン系(ソグド人など)やトルコ系(西突厥など)の種族が「羈縻」支配に入ったと予想される。その中で、その出自がソグド人とされてきた「史多墓誌」について、再解釈を行った(「「史多墓誌」に関する一考察」『KU-ORCASが開くデジタル化時代の東アジア文化研究』、関西大学アジア・オープン・リサーチセンター)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を遂行する上で、最も大きなウェイトを占める中国での現地調査が、2021年度現在では、できない所にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も中国における現地調査は、実際の所、不可能であると予想される。最終年度の2023年度に好転することを予想し、本研究そのものを延長する方向で、計画を立て直している。そのため、2022年度と23年度において、中国西南および南の諸地域の石刻史料の整理と、それに関する典籍史料の整理をメインに行う。
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Causes of Carryover |
2021年度の研究費の使用予定は、中国での調査費用が主であった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大対策のため、中国政府による入国制限がかけられていたことにより、海外調査ができなかったためである。この状態は、2022年度も続くようであるため、研究の延期も含めて、旅費分はそのままにしておきたい。また、中国からは毎年、大型の石刻史料集が出版されるので、その購入費用とする。
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Research Products
(2 results)