2021 Fiscal Year Research-status Report
New horizons for the Arabic historiography: Editing and digitizing Mamluk chronicles
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20K01011
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中町 信孝 甲南大学, 文学部, 教授 (70465384)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 写本校訂 / アラビア語年代記 / ウラマー / デジタル校訂 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度同様、コロナ禍の影響を多分に受けた一年であった。 校訂作業に関しては、オンラインでの読書会を研究協力者とともに12回開催した。これにより,年代記の1年分に相当する記述の校訂を進めることができ、研究開始より通算して3年分(ヒジュラ暦713~715年)の記述の校訂が進んだことになる。この箇所には、イルハン朝のスルターニーヤ遷都にかんする他史料には見られない情報を含むのみならず、マムルーク朝のナースィル検地に関する調査者、調査地、廃止された税目等のより正確な情報を含んでおり、当該分野の研究に大いに資する記述となるだろう。ただし、校訂原稿の校正ワークショップは開催することができなかった。 ウラマー研究については、前年度に延期されたキプロスでのマムルーク研究会議は中止となり、発表の機会を失った。ベルギーでの長期在外研究を神戸大学での国内研究に振り替え,同大学が所蔵する豊富なデジタル資料の調査を行うことができたものの、短期間でのベルギー、エジプト渡航はついに実施する機会を持てなかった。しかし、オスマン朝時代におけるアラビア語写本の流通に関する論文を公表することができ、アウトプットにおいては一定の進展がえられた。 デジタル校訂については、校訂原稿の一部をデジタル成形し、どの手段がより効果的かを比較・検討する段階に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
校訂読書会は引き続きオンラインで支障なく行っているが、校訂テクストの校正についてはやはり対面にて行う必要があり、そのためのワークショップが依然として開催できないことが大きく響いている。海外渡航については一切行えない状態が2年続いており、文献蒐集、成果発表の両面で遅れを生じさせている。ただし今年度は意識的にオンラインによる研究会・講演会に多く参加することを心がけ、さまざまな新しい知見に触れることができた。今後も可能な限り、新たな情報に触れる努力を継続したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は海外渡航の規制も解かれる見通しであり、短期間での在外研究の機会が見込まれる。夏期にはドイツ・マールブルク大学で開催されるマムルーク研究会議に参加登録しており、またその他米国、エジプトでの短期滞在を行って、資料調査の遅れを取り戻したい。 また国内での校訂ワークショップや、オリエント学会等の大会での企画セッションを予定しており、より広い層に向けた研究成果のアウトプットを行う。デジタル校訂についての経過発表、意見交換もこうした場で行いたい。
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Causes of Carryover |
海外での学会参加が中止となり、それにともない英文校閲費も不要となった。またベルギー等での資料調査も中止したため、旅費、謝金、その他の費目において大幅に残額が出ることとなった。 次年度は、これまで実施できなかった海外渡航を行うため旅費については可能な限りその目的で使用したい。また資料整理のためにアルバイトを雇用し,作業の効率化も図りたい。
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Research Products
(1 results)