2020 Fiscal Year Research-status Report
近世中国官僚制と科挙に関する公文書並びに文物の日欧伝播とその影響に関する研究
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20K01015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 晃嗣 東北大学, 文学研究科, 教授 (50396412)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 明清中国 / 官僚制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、COVID-19によって、ローマ・ラ・サピエンツァ大学(イタリア)、ハイデルベルグ大学(ドイツ)、ライデン大学(オランダ)等に所蔵される中国近世の公文書・文物等について、現地に赴いての調査を実施することができなかった。また、国内においても、同様の理由によって、各地の所蔵機関での調査及び史料・文物の閲覧・撮影はできなかった。そこで、感染が収束して次年度以降にそれらの実施が可能となった時に備えて、各地の研究者とのオンラインでの交流会を複数回実施し、それらを通してネットワークを拡げ所蔵情報を収集すると同時に、また公開・販売されている目録類を閲覧するといったことにつとめた。 またそれらと併行して、18世紀オランダ東インド会社の遣清使節が残した日記史料として知られる Isaac Titsinghの日記に関して研究会を開催し、「清朝の官僚機構-ティチングの日記と乾隆朝-」と題してオンラインでの研究報告を行った。そして、松方冬子氏、森田由紀氏をはじめとする諸先生から、18世紀のオランダ知識人が行った、清朝に対する情報収集活動とその内容、さらにはFrank Lequin氏による先行研究などについて、多方面から助言を与えていただいた。これによって、本研究課題の期間内において実施するライデン大学での公文書・文物調査は、申請当初の計画以上に効率的に行うことが可能となり、大変有意義であったと考える。従って、次年度以降も継続的に当該日記の研究会を行い、成果を蓄積していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19によって、海外及び国内での史料・文物の調査と実見が適わなかったため。しかし、一方で、その下準備をかなり行うことができたので、調査再開の目処が立てば、申請時の予定より速やかに計画を実行できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、申請当初の計画通り、海外及び国内の所蔵機関での一次資料・文物の調査を行い、それらに基づいて近世中国官僚制のイメージがどのようにして各地に伝播したのかを分析する方針に変更はない。一方で、実地調査が今後ともすみやかに実施できない場合にそなえて、これまでに収集してきた一部の文物の整理と分析を前倒しする。それと同時に、先述したオランダ使節が残した日記の読解を通して、18世紀における清朝-ヨーロッパの交流について研究し、できる限り実績を公にできるように進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19によって、海外での調査が行えなかったため、旅費相当分が残っている。これらは調査が可能となった段階で、滞在期間を延長するなどに利用することで有効に活用する。
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Research Products
(1 results)