2022 Fiscal Year Research-status Report
清代後期盛京社会における科挙受験と婚姻:マンチュリア地域変動のなかの新たな選択
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20K01020
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古市 大輔 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40293328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 清代 / 盛京 / 科挙 / 婚姻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マンチュリア南部の盛京(奉天、現・遼寧省)社会の人々が清代後期に試みた科挙受験と婚姻のありように注目し、そこにみられる人々の動機や選択・戦略を明らかにすることを通じて、清代後期のマンチュリアにおける地域変動の特徴の一端を解明することを試みるものである。具体的には、清代後期の盛京社会を構成する人々・家族の歴史を記す記事を諸史料から抽出し、特に科挙受験と婚姻の事例に現れるそれぞれの家族集団の戦略・動機やその特徴などを指摘することを目的としている。 本研究課題の3年目にあたる今年度には、新型コロナウイルス蔓延の影響によって、国外の諸機関に所蔵されている未刊行の史料の調査をなおも十分に進めることがかなわず、その調査に基づく分析にもなお不十分な部分を残した。そのため、現時点ではその成果を公表するまでには至らなかったが、それでも以下のような調査結果を得ることができた。 (1)科挙受験の準備のための書院・私塾など、盛京における伝統的教育機関の形成過程に関する諸史料を調査し、その時期的展開の大凡を確認することができた。(2)前年度にその調査内容を公表してある遼陽劉氏との間に姻戚関係を持っていた瀋陽陳氏の家系とその姻族についての追加調査を行い、瀋陽陳氏の持つ文人家族としてのネットワークのありかた・特徴・地域的拡がりやその婚姻における選択の一齣を見て取ることができ、また、それによって、盛京における私塾・書院が地元の文人家族の動向に与えた影響を論じるための素材も併せていくらか得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内の各研究機関に所蔵されている史料や既に刊行されている史料を新たに入手して、それら史料の内容把握と分析を優先的に進めたものの、新型コロナウイルス蔓延の影響により、研究の進展に裨益するはずの国外諸機関に所蔵されている未刊行史料の調査をなおも十分に進めることができず、研究成果として公表するまでには至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、なおも新型コロナウイルス蔓延の状況次第ではあるものの、状況が好転次第、前年度・今年度にその調査を予定していた科挙や書院・私塾に関連する史料も含め、国外の諸機関に所蔵される各種史料の調査を可能な限り速やかに進めたい。 ただ、国外での史料調査になお懸念が残るなど、研究の環境・状況が好転しない場合には、やむを得ないところではあるものの、さしあたり既刊行の諸史料、並びに国内各研究機関に所蔵されている史料・記事内容の調査・分析に基づく議論を中心に研究成果として公表することも検討したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延の影響で、旅費を用いた国外各機関における史料調査がなおも実施できなかったため。この次年度使用額については、今年度は、既に予定してあった国外での史料調査のための旅費として基本的に使用する予定であるが、新型コロナウイルス蔓延の状況が好転せず、国外各機関を訪問しての史料調査がなおも叶わない場合には、やむを得ないところではあるが、その一部を国内旅費に充てるほか、今年度と同様、各機関から直接史料複写を依頼するその費用として、あるいは未購入の刊行史料を購入するその費用として使用することにする。
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