2020 Fiscal Year Research-status Report
「ビカミング・ジャパニーズ」の視座からみる植民地朝鮮映画人に関する史料的研究
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20K01026
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
李 敬淑 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (80723048)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ビカミング・ジャパニーズ / 植民地朝鮮映画 / 帝国映画 / 許泳 / 日夏英太郎 / 李創用 / 金信哉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、植民地朝鮮の映画人たち(許泳=日夏英太郎・徐光濟・李創用・李台雨)の映画活動を中心に、彼らが如何なる論理を構築しながら「ビカミング・ジャパニーズ=<日本人>になること」を欲望していたかを、戦時下の日本映画界においての彼らの役割や映画史的意味とともに明らかにすることである。 本研究は「資料収集→分析」という構造的に単純明快な研究手法を用いて進められ、当初の計画として2020年度には、海外調査を通して資料収集を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響で、予定していた海外現地調査はもちろんのこと、国内研究出張すら行うことが困難となり、計画の変更を余儀なくされた。計画変更の結果、研究方法を工夫し、以下のような実績をあげた。 まず、近刊の『帝国の女優たち――戦時下日朝映画の越境と表象』に、許泳(日夏英太郎)が制作に携わった映画作品の関連情報を分析材料として使用することができた。同書は、許泳(日夏英太郎)に焦点を当てたものではないが、日本と朝鮮の映画界を跨いで活動していた映画人の分析のための視座を共有しているものとして、本研究課題との関連性が非常に高い。 なお、継続研究テーマとして追跡してきた植民地朝鮮の女優・金信哉(キム・ミンジェ)と許泳(日夏英太郎)・李創用との人的交流に関する資料分析に取り掛かることができ、その一部を論文として掲載した。 パンデミックの影響で2021年度の研究遂行においても資料調査の面では様々な困難が予想されるが、あらゆる手を駆使しながら、着実に当初の研究目的を達成していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の研究計画として、アメリカ・中国・韓国での研究調査を予定していた。新型コロナウイルスの影響で、海外への渡航が困難となり、外国籍の研究者の場合、日本への再入国も事実上不可能に近い時期が長引いた。これらの予期せぬ事情により、海外での新資料の収集が難しく、国内外の文献複写サービスやアーカイブ等で研究を進めてはきたが、現在までの進捗状況は多少遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度にも、資料調査には様々な困難が予想されるが、まずは県を跨いだ移動に関わる諸状況を考慮しながら、国内資料調査から慎重に進めていきたい。海外の資料収集においては、アメリカや韓国在住の研究者たちのお力添えをいただきながら、映画アーカイブ機関との連携を通してできる限りの資料調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外現地調査で事実上不可能となり、旅費として計上しておいた使用金額から変更が生じた。次年度からは、復刻版などの海外出版物を大量に取り寄せ、購入すること、また海外在住の研究者らの手を借りた資料調査補佐・郵送等の協力に対する国際資料配送料および人件費(謝金)などが発生すると予想される。
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Research Products
(2 results)