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2020 Fiscal Year Research-status Report

清代の官僚名簿からみる人事制度の運用実態と王朝統治

Research Project

Project/Area Number 20K01028
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

山本 一  立命館大学, 文学部, 講師 (00748973)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords中国史 / 清朝 / 官僚制度 / 王朝統治 / 官僚名簿
Outline of Annual Research Achievements

本研究は清代の中央・地方官僚の人事制度とその運用実態を明らかにし、清朝の中央集権体制・王朝統治の特徴を明らかにすることを目的とする。具体的な研究史料としては、『縉紳全書』と『宗人府選冊』という2種類の官僚名簿を中心とする。これらの官僚名簿は単なる名前の羅列ではなく、当時の官僚がそのポストに就任する際の人事方法なども記載されている。これらの記載をデータ化して、清朝の人事制度の運用実態を明らかにする。
まず『縉紳全書』については、①清朝初期(17世紀後半~18世紀前半)、②地方官人事規定が完成を見る時期(18世紀末)、③地方行政機構が変革した時期(19世紀中葉)、④清朝末期(19世紀末~20世紀初頭)という異なる4時点のデータを集積・分析することを計画しており、今年度は②と③と④の時期のデータに対して分析をおこなった。その結果、地方大官は、重要度の高い地方官ポストへは、同等ポストで経験を積んだ官員を異動させ、重要度の低いポストには下級からの昇任をおこなう傾向が見られた。これは地方の実情を知る地方大官が主体性をもって地方官の人事をおこなおうとする運用実態があったことを示唆する。
宗人府とは高位の満洲族を管理し、彼らの人事や爵位の授与、訴訟などを担う官庁であり、『宗人府選冊』は宗人府内の官僚人事に関する記録を記したものである。今年度は入手済みの『宗人府選冊』のデータ入力をおこなった。本格的な分析は次年度以降におこなうが、入力を通じて名簿がカバーしている官員の範囲・種類などを把握することができた。
また宗人府については、清朝が倒れたあとも、北京の紫禁城内に元皇帝とともに存続していたことが知られている。ただ、当該時期の宗人府の職務状況や経営などについては明らかになっておらず、関連する新聞資料などを収集した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本来の研究計画では、海外での史料調査をひろくおこなう予定であった。しかし新型コロナウイルス感染症の蔓延により海外渡航が制限されたため、本来の計画予定を実施することはできなかった。
そこで、既に入手している史料の整理や分析をおこなうこととし、前述の研究を実施した。また、可能な限りではあるが、国内での史料調査をおこなった。
その中で前述した「清朝が倒れたあとの宗人府の状況」という新たな研究テーマを設定することができた。

Strategy for Future Research Activity

コロナ禍の状況好転により海外渡航が可能になれば、中国・台湾・アメリカへ史料調査に行く。それまではネットで目録検索などをおこない、収集予定の史料を選定しておく。
『縉紳全書』については、【研究実績の概要】で記した①の時期のデータを入力・整理し、分析をおこなう。また②~④の時期についても追加でデータを入力・整理するとともに、それぞれの時代間における官僚人事の運用実態の比較をおこなう。
『宗人府選冊』については、データ入力はほぼ終了している。名簿に記載されたポストのうち、比較的高位の官員ポストについては、数量的・経年的にデータが存在することが判明したため、「誰が」「いつ」「どのポストから」「どのような形式で」「誰の代わりに就任したのか」などについて整理をおこなう。この作業をとおして、宗人府の人事とそれ以外の一般的な人事がどのような関係にあるのかについて考察していく。
また清朝滅亡後の宗人府の状況については、国内の新聞などのデータベース検索を利用し、関連史料を収集する。先行研究によって、清朝滅亡後の元皇帝の状況、および北京における満洲人の困窮状況などが明らかにされている。しかし当該時期の宗人府に関する先行研究は管見の限り無く、宗人府の活動状況や中華民国の元清朝皇室に対する扱いなどを明らかにすることにより、宗人府が残された意味や意義を考察し、当時の北京の社会状況を描出していく。

Causes of Carryover

研究計画では海外(中国・台湾・アメリカ)での史料収集をひろくおこなう予定であったが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により実施することができなかった。それにより旅費(帯同予定であった史料調査補助者分を含む)、および関連する物品費(収集史料保存のためのUSB、HDDなど)を執行することができなかった。また人件費については、データ入力のアルバイト雇用費を予定していた。データ入力は漢字が中心となるため中国人留学生を念頭においていたが、こちらもコロナ禍によって留学生が来日できず、雇用することができなかった。
次年度について、コロナの状況が好転すれば海外史料調査を実行する。またコロナの状況にもよるが、国内での史料調査(国立国会図書館、東洋文庫など)も積極的におこなっていく。人件費については、現在来日している中国人留学生、および日本人の大学院生などを雇用して、データ入力をすすめていく。

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Published: 2021-12-27  

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