2021 Fiscal Year Research-status Report
仏名経から見る中国仏教の歴史的展開に関する基礎的研究
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20K01030
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
山口 正晃 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (60747947)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 仏教史 / 仏名経 / 敦煌 / トルファン / 目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続くコロナ感染に加えて、2022年2月以降はロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、現地調査は全くできていない。その代わり、2020年12月には中華書局より『旅順博物館蔵新疆出土漢文文献』が出版された。これは、日本の大谷探検隊がトルファンを初めとして新疆で蒐集した写本のうち漢文文献をカラー写真にて掲載したものであり、全32冊という大部なものである。これを本来は海外調査のために計上していた2021年度の予算で購入した。この中にも仏名経は大量に含まれており、その整理作業を開始した。 また、昨年度から継続して中国国家図書館を初めとして、フランス国立図書館、ロシア科学アカデミー東洋写本研究所所蔵の仏名経について整理作業を進めている。2021年度においては特にフランスとロシアの所蔵品について重点的に出版物からの整理作業を進めている。特に、ロシア所蔵本の大型図版(上海古籍出版社、全17冊)のうち、第1冊から第10冊に関しては経名が同定されて出版されているものの、仏名経に関してはたとえば12巻本と16巻本と18・20巻本の『仏説仏名経』を区別していないなど、全面的に同定作業を見直す必要がある。さらに第11冊以降はそもそも経名を同定せず、各写真が無題のまま出版されているため、これらは一から同定する必要がある。したがって、ロシア所蔵品を特に重点的に整理作業を進めている。その結果、第11冊以降の新たに同定したものだけでもおよそ300点近い写本を、仏名経として同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナパンデミックの影響により、当初計画していた海外調査が全く実施できていない。またコロナの影響により通常業務(大学における授業や校務、また学会運営など)においても物理的な時間を多く取られ、その影響により目録作成の作業自体が遅れ始めている。また上記した旅順博物館所蔵のトルファン写本は多くが微細な断片であり、出版時点でなされている同定内容を検証する作業に多くの時間を費やす必要がある。そのため、いまだ形として成果を出すには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
海外出張が大きく制限され、かつまた今後の見通しも立てにくい現状に置いては、国内所蔵品を中心として調査を進め、海外所蔵品については、出版物およびWEB上の情報をもとにできる範囲内のことを進めていくよりほかはない。具体的には、国内においては写真等の出版がない静嘉堂文庫が所蔵するトルファン写本については今年度中に調査する予定である。また海外所蔵品については、昨年度に出版された、旅順博物館所蔵の新疆出土写本の整理を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、海外出張は全く実施できなかった。国内出張も、先方との調整の結果、当該年度における出張は断念せざるを得なかった。このため旅費は一切使用しなかった。またこの結果として、収集した資料を整理するための人件費等も使用する機会はなかった。
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