2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01031
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山根 直生 福岡大学, 人文学部, 教授 (70412567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 崇人 龍谷大学, 文学部, 准教授 (50351250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 河北定州 / 定州開元寺塔 / 五代宋初 / 石刻資料 / 国境 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者間の交流・協業と現地調査を基軸とした本研究計画としては、新型コロナウィルスパンデミックの影響は避けがたかったが、代表者の主催する東洋史学研究会をオンラインにて開催し、各自発表を行って非対面での交流を図った。 その内容は、第74回(2020.08.01)にて山根直生「五代宋初、定州開元寺資史料についての紹介」、藤原崇人「白台寺《寺規碑》に見る金代寺院秩序の一端」、桃崎祐輔「定州静志寺地宮遺物の再検討―北魏復佛・隋文帝造塔時遺物の分離作業」、第75回(11.07)にて舩田善之「色目人再論:「元代四階級制」説のその後」、第76回(2021.02.20)にて鈴木昭吾「コロナ禍でのオンライン教育の実践についてー中国、外交学院での日本語教育を題材にー」、であった。 代表者山根直生の実績としては、論文「中国唐宋時代における「中央」と「周縁」」(『九州歴史科学』48号、2020年)および「狼山の孫氏―河北定州資史料に見る宋遼境界の担い手―」(『歴史資料と中国華北地域ー遊牧・農耕の交錯とその影響ー』、2021年)、研究発表としてアジア文化研究所公開シンポジウム「歴史資料と中国華北地域ー農耕・遊牧の交錯とその影響ー」(2020年10月10日、東洋大学オンライン開催)を行った。 分担者藤原崇人の実績は、「釈迦生身を奉ぜる女真の王朝 ―仏教国としての金―」(板倉聖哲 (編)『アジア仏教美術論集 東アジアⅣ 南宋・大理・金』中央公論美術出版、2020年12月)、「契丹北域のセン塔に関する一試論」(板倉聖哲・塚本麿充 (編)『アジア仏教美術論集 東アジアⅢ 五代・北宋・遼・西夏』中央公論美術出版、2021年、「祭山儀にみる契丹の信仰 ―謁菩薩堂儀の位置づけをめぐって―」吉田一彦 (編)『神仏融合の東アジア史』名古屋大学出版会、2021年)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画は研究者間の交流・協業と現地調査を基軸にするものであるだけに、2020年度における新型コロナウィルスパンデミックの影響は避けがたかった。対応策として、研究代表者その他の勤務校がオンライン授業化の混乱をへた後に、代表者主催の東洋史学研究会をオンラインにて開催し、各自発表を行って非対面での交流を図った。【研究実績の概要】記載の東洋史学研究会開催履歴がその結果である。 一方で本研究計画にとって重要な史料となる定州開元寺修塔碑については、折良く『定州開元寺塔石刻題記』(文物出版社、2020年)が出版されたのをとらえ、網羅的なその内容を文字校訂した上で、一覧表化・索引化する作業を代表者・協力者やアルバイト雇用した学生らによって進めた。これを活用しつつ代表者は【研究実績の概要】記載の論文と研究発表を行った。五代宋初を中心とするその内容は、他の研究分担者や協力者にとっては研究対象の前史となるものであり、『定州開元寺塔石刻題記』の内容を活用するにも参照すべき前提的知識として有用となるはずである。 また研究代表者は、やはりオンライン開催となった台湾中央研究院歴史語言研究所主催の五代史研討会(2021.05.22)、本年度宋代史研究会(09,11)でも研究発表を予定し、現在までその準備を進めており、地域史的な本研究計画の成果を唐宋時代史全体の成果とするための理論的整理も行っている。今後はこうした2020年度の成果をもって、本研究計画の加速を図ることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究の進捗においても新型コロナウィルスパンデミックの影響から完全に脱することは期しがたく、特に中国へ渡航しての現地調査は2022年度にもおそらく困難である。これをやむを得ぬ前提条件としつつ、今後の推進方策としては以下二点が挙げられる。 (1)国内での研究者の交流をオンラインの継続と対面回帰の模索との両面で図りつつ、研究会の活発な開催と報告集発刊に向けた準備を進める。幸いオンラインでの研究会開催は国内外で浸透しており、研究分担者・協力者のみにとどまらない範囲へも参加をよびかけ、本研究計画に資する知見の収集と、その成果の発表に用いる。最終的な成果報告会の場にオンラインを用いることも検討する。 (2)【現在までの進捗状況】に記した『定州開元寺塔石刻題記』の検討を進める。同書所収の諸史料が持つ意義は、本研究計画のみならず宋代史研究全体にとっても大きなものであり、その索引を報告集に収録することを目指し、同書編者との密な連絡を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスパンデミックのため国内外の出張や現地調査が行えず、研究会などの開催もオンラインの使用によるものとなったため、次年度使用額が生じた。現地調査はなお困難と思われるため、今年度においてはオンライン・対面での研究会開催をより活発化し、そのための電子機器購入などに用いる計画である。
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Research Products
(7 results)