2021 Fiscal Year Research-status Report
13世紀後半北イタリア都市間関係史の動的構築-河川交通・紛争・秩序
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20K01039
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 京比子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40283668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヴェネツィア / 河川交通 / ロンバルディア同盟 / フェッラーラ / イタリア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、『イタリア史のフロンティア』(昭和堂、近刊予定)に掲載予定の論文「川が結ぶ北イタリアー中世のポー川と都市間交渉』を執筆した。ここでは、都市コムーネ台頭以前~都市コムーネ成立期のポー川の通行について、先行研究をいくつか概観し、その後、1177年のポー川をめぐるフェッラーラとロンバルディア同盟諸都市及びヴェネツィアとの協約を詳しく紹介した。またその協約後、ヴェネツィアがポー川に進出していく様子を概観し、ポー川の通行をめぐる1307年のヴェネツィアとパルマの交渉を詳しく見ることで、ヴェネツィアがポー川の中流域まで影響力を伸ばしてきていることを述べた。ポー川の河川交通の実態は未だ体系的に明らかにされておらず、断片的な情報の提供にとどまっているが、都市コムーネ成立期以前から14世紀前半までを概観することで、河川通行をめぐる政治主体の相互交渉や変遷について、一定の見通しを得ることができた。また、その作業と並行して、13世紀前半の、ヴェネツィア、クレモナ、フェッラーラ、マントヴァ間のポー川の通行にあ関係する協約を刊行史料より抜粋してまとめた。これらの結果は「川が結ぶ北イタリアー中世のポー川と都市間交渉』に生かすことはできなかったが、ポー川を巡って様々な都市間で独自に協約が結ばれている様が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、1258年のクレモナとヴェネツィアの協約の政治的背景を明らかにすることで、河川のような経済・環境的要因と紛争のような政治状況がどのように相互影響しつつ、地域の秩序が形作られたか、を明らかにすることができた。しかしその後、その協約に至るまでのポー川の通行を概観するために、1177年の協約を中心にロンバルディア同盟とフリードリヒ1世の紛争について改めて調査したりしていたため、13世紀後半についての研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査を通じて、ポー川をめぐる都市間の関係につき、12世紀~14世紀初めを概観することができた。そこで今年度は、13世紀後半の研究に戻り、科研の2番目の課題であるバッサーノとヴィチェンツァの紛争に取り組みたい。バッサーノとヴィチェンツァの紛争については、G.Verci, Storia della Marca trevigiana e Veronese, Venezia, 1786 (vol.2) に詳しく経緯が書かれているので、まずそれをまとめる。ついで、当時のバッサーノの状況をよりよく理解するために、1264年に発布された、バッサーノの条例集を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、旅費の使用がなかったため。また現在、文書館史料ではなく刊行史料を中心に研究を進めているため、次年度は特に余った旅費を使用する予定はない。自由にイタリアに行けるようになれば、現地調査を兼ねて渡伊する予定である。
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Research Products
(1 results)