2022 Fiscal Year Research-status Report
13世紀後半北イタリア都市間関係史の動的構築-河川交通・紛争・秩序
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20K01039
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 京比子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40283668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヴェネツィア / ヴェネト / 河川交通 / 西洋中世史 / イタリア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、7月末に『イタリア史のフロンティア』(昭和堂)が刊行され、そこに「川が結ぶ北イタリア-中世のポー川と都市間交渉」を掲載した。そこにおいて、ポー川をめぐる都市間の関係につき、12世紀から14世紀初めを概観することができたので、その後は、13世紀後半の研究に戻り、科研の2番目の課題であるバッサーノとヴィチェンツァの紛争に取り組んだ。まずは12世紀から13世紀のバッサーノの政治的変遷を先行研究に基づいて確認した。バッサーノは司教座を持たないため、中世イタリアの基準では都市には分類されないが、農村よりは人口も多く自律的な共同体で、いわゆる準都市と呼ばれる。現在はヴィチェンツァ県に属し、中世においてもヴィチェンツァが自身のコンタード(従属農村領域)への所属を早くから主張していたが、ヴィチェンツァとパドヴァ、領主ダ・ロマーノ家の間で、バッサーノの帰属は曖昧であり、必ずしもヴィチェンツァの農村領域として安定的に支配されていたわけではないことが明らかになった。エッツェリーノ・ダ・ロマーノの失脚後バッサーノはパドヴァへの帰属を望み、ここにヴィチェンツァと紛争が起こることになる。この紛争を調停したヴェネツィア人、マルコ・クェリーニはバッサーノ、ヴィチェンツァ、パドヴァのみならず、自身の出身都市であるヴェネツィアの利益も勘案した上で、裁決を下した。この内容は、論文にまとめて、京都大学西洋史研究室のオンライン雑誌である『フェネストラ』に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度はバッサーノとヴィチェンツァの紛争に取り掛かることができたが、夏には別のテーマで依頼原稿を書いていたため(14世紀のキプロス島でフェッラーラ出身のヴェネツイア人が書いた遺言書を軸に、中世地中海における人の移動を扱った)、それほど本科研の内容が捗ったというわけではない。実際には、エッツェリーノ失脚後にバッサーノで発布された条例集の分析まで進める予定であったが、そこには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査を通じて、13世紀後半におけるバッサーノ、ヴィチェンツァ、パドヴァの関係の基礎をなす、「マルコ・クェリーニの裁定」について明らかにすることができた。今後は、エッツェリーノ失脚後にバッサーノで発布された条例集を分析し、当時のバッサーノの自治の実態、経済的重要性やブレンタ川との関係をより詳細に調査する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナが落ち着いてきたとはいえ、まだコロナ以前のような状態に戻ったわけではないため、海外出張は行わなかった。また国内の研究会もズームで参加するなど旅費を使用しなかった、そのため次年度使用額が生じた。現在、刊行史料を中心に研究をおこなっているため、今年度における海外出張の予定はない。しかし研究の進展に応じて、現地の検分や文書館での史料調査が必要になれば、イタリアに出張することも考えたい。
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Research Products
(1 results)