2021 Fiscal Year Research-status Report
The political economy of slave reproduction in the British West Indies
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20K01042
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
伊藤 栄晃 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (60213071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 西インド諸島 / 黒人奴隷制 / 砂糖プランテーション / 人口 / 人口政策 / 奴隷貿易廃止 / 奴隷制度廃止 |
Outline of Annual Research Achievements |
後述のように当該年度は活動を国内に限定せざるを得なかったため、調査対象の奴隷貿易廃止論に関する史料のうち、バラムの書簡(部分:オックスフォード大学ボドレー図書館所蔵「バラム文書」の一部)およびクラークソンの著作”An Essay on the Slavery and Commerce"〔1786〕の原本を入手したに留まる。また予定してはいなかったのであるが、ジャマイカの指導的プランターであったウィリアム・ベックフォードの著作”A Descriptive Account of the Island of Jamaica"〔1790〕vols.2 を入手できた。この史料にも奴隷の取り扱いについての議論が多く含まれていることが分かった。これらの批判的吟味作業を実施した。 現在までのところ、急進的な奴隷貿易廃止論者だったクラークソンと彼に敵対する二人のプランター論者とは、当初予想通りアフリカ人に対し人種的に自分たちとは異なる人々という意識が共有されていたことは明らかにできた。しかし「廃止」論の精神的リーダーだったウィルバーフォースのように明確に彼らを劣等な人種とみる見方が共有されているかどうかは慎重に吟味する余地がある。ミドルトンら女性の「廃止」論者の論稿については、所蔵されている文書館とのコミュニケーションが滞り、コピーの入手は果たせていない。 奴隷の労働や家族生活については、英領ネイヴィス島のモントラヴァーズ農園(ジョン・ピニー所有)に関して、「業務日録」と「奴隷登録簿」との資料連結分析がほぼ完了した。 データのダブルチェックおよび整理・調整作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は3年間にわたる本研究プロジェクトの2年目に当たり、交付申請書の「研究実施計画」ではオックスフォード大学ボドレー図書館所蔵文書の「バラム家文書」のコピー筆記写本作成とその内容分析、および国際学会(アメリカ農業史学会)でのデータの一次分析結果の開示を予定していた。 しかしコロナウィルス感染の世界的な拡大、ことにイギリス・アメリカでのその蔓延で外務省海外安全情報レベル2~3の状態であったことを踏まえ、これら2国への渡航を断念せざるを得なかった。その結果英国での資料調査および米国での分析結果報告のいずれの果たされてはいない。そこで当該年度は日本国内でできる活動に限定し、まずアフリカ系奴隷社会とその人口・家族問題に関する入手可能な文献の収集に注力し、その成果は勤務校である埼玉学園大学の紀要「人間学部編」に投稿、公開の予定である。 またインターネットを通して上記ボドレー図書館と連絡を取り、「バラム家文書」の一部を成すメソポタミア農園関連文書のうち、奴隷労働者の異動に関する部分のコピー入手に成功した。現在はその内容の読み取りと分析を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(令和4年度)中にコロナウィルス感染症の世界的な蔓延が収拾に向かい、とくにイギリス・アメリカ両国への渡航条件が大幅に緩和されることを条件として、この3年プロジェクトの初めの2年度に果たせなかった、英国オックスフォード大学ボドレー図書館での資料調査およびアメリカ農業史学会での研究成果のプレゼンテーションをぜひとも果たしたい。余裕があれば、英国国立公文書館(ロンドン)での資料調査も実施する。 しかしながらコロナ感染症の再拡大という状況となれば、それらの活動も断念せざるを得ない。その代わり、国内で欧米研究会の最新の研究成果の収集とその批判的な分析に注力すると同時に、昨年度(令和3年度)に取集した「バラム家文書」(部分:上記)の分析と、残りの部分の可能な限りのコピーの収集に努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由は、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延により、とくに資料調査と研究交流とを予定していたイギリスおよびアメリカ合衆国については感染状況が極度に深刻で、健康被害の危険性が極めて高かったため渡航を断念せざるを得ず、現地での文献・史料調査が全く実施できなかったことにある。したがって今後は、邦国外務省の渡航安全情報に基づいてコロナ感染症が当該二国で収束に向かう傾向が確認されることを前提として、翌年度分として請求した助成金と合わせて、プロジェクトの初めの2年度において果たすことができなかった現地での資料調査や学会・研究会での研究成果のプレゼンテーションおよびテーマ関連研究者とのデイスカッション実現のために使用する計画である。
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Research Products
(1 results)