2020 Fiscal Year Research-status Report
イギリス本国史・帝国史の統合と財政軍事国家論の再考
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20K01052
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| Research Institution | Hirosaki University |
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Principal Investigator |
中村 武司 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (70533470)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薩摩 真介 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (70711125)
辻本 諭 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50706934)
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 准教授 (90724196)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | イギリス史 / イギリス帝国史 / 財政軍事国家論 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
科研費による共同研究の第1年次にあたる2020年度は、検討課題の(1) 軍隊ならびに(2) 戦略・外交について研究を進める一方で、J. ブルーアの財政軍事国家論との関連から、イギリス帝国史ならびに近世ヨーロッパの国家論をめぐる研究史・史学史を検討し共同研究のメンバーのあいだで理解の共有につとめた。2021年3月に定例研究会を開催し、研究代表者である中村が18世紀イギリス帝国史の研究動向を整理し、その問題点を指摘したうえで、アイルランド財政国家、海軍と航海法の関係、インドにおける財政軍事帝国主義という本研究にとって重要な論点を紹介した。また研究分担者の辻本は、歴史学・歴史社会学における国家論の研究状況を概観すると同時に、軍事革命論と国家形成との関係、財政軍事国家における中央と地方など、国家の理解・把握をめぐる主要な観点を論じた。
しかしながら、世界規模での新型コロナウィルス感染症（COVID-19）の流行とその拡大により、国内外問わず出張は中止ないし延期せざるを得なかった。それゆえ、当初計画していた英国図書館（The British Library）や国立文書館（The National Archives）など、イギリスの各文書館・図書館における一次資料の調査を実施することができず、研究計画の変更を余儀なくされたところが多い。日本からもデジタル・データのオーダーが可能な場合はそれで対応しつつ、二次史料の調査を重点的に実施することとなった。
本研究に関連する研究成果としては、代表者の中村が、財政軍事国家の形成とイギリスの議会寡頭制の展開への問題関心から、長い18世紀の陸海軍士官出身の議員のプロソポグラフィ研究を実施し、その研究成果の一端を「長い18世紀イギリスにおける軍人・議会・選挙区 (1)」として執筆したほか、2020年12月に開催された第70回日本西洋史学会大会小シンポジウム「財政軍事国家を再考する」を組織し、共同研究のメンバーが研究報告を実施した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究がかならずしも順調に進捗しなかった最大の理由は、前述したように、世界規模での新型感染症の流行である。とりわけ海外での一次資料の調査が十分に実施できない以上、日本でもまだ可能な二次資料の収集・調査に焦点をあて、本共同研究にかかわる研究史・史学史の理解・把握につとめた。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究の第2年次にあたる2021年度は、検討課題(3) 科学と(4) 文化について、海外での史料調査を含む作業を進める一方で、2020年度の検討課題についても引き続き考察を進めてゆく。
2020年度も定例研究会の開催を予定しており、研究分担者の薩摩ならびに石橋が、それぞれの検討課題の研究動向の整理・紹介をおこなう。それ以外にも、本研究の進展により得られた成果は、学会・研究会での報告や論文を通じて、積極的に公表につとめることとする。
なお、2020年度に実施できなかった海外での資料調査は、新型感染症の状況いかんにもよるが、可能であれば、2021年度の資料調査とあわせて実施することを計画している。
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| Causes of Carryover |
くりかえしとなるが、次年度の研究費に使用が生じた大きな理由は、当初2020年度に計画していた海外資料調査の中止による。次年度使用分については、2021年度の海外資料調査にともなう出張旅費にあてる予定である。
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