2022 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation of Xenophobia in France at the end of the 19th century: Analysis of National and Local Elections in Paris Region
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20K01053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長井 伸仁 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10322190)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス / 近代史 / 選挙 / 外国人 / パリ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、8月28日から9月14日までフランスに渡航し、警視庁文書館とパリ文書館において史料を閲覧することができた。警視庁文書館では、選挙運動や政治団体の監視記録であるBA系列と、各警察署の日常記録であるCB系列を、ブーランジスムが隆盛をみた1890年前後を中心に調査した。パリ文書館では、市内各区の区行政文書であるVbis系列を抽出調査した。この渡航は本研究課題においてはじめての現地史料調査であり、一定の成果を得ることができた。なお、令和5年3月に予定していた二度目の現地調査は事情により中止を余儀なくされ、警視庁文書館における1900年前後の史料調査と国立公文書館での調査を実施できないまま研究期間を終えることになった。 排外主義的な主張を唱えていたブーランジスムは、パリでは全国的な動向を大きく上回る票と議席を獲得した。しかし候補者の選挙運動をみると、改憲や議会批判など国政上の論点が中心になっており、それが選挙区内の社会経済的状況と結びつけられることはほとんどなかった。例外的にパリ郊外の選挙区では、パリ市内とのインフラ整備や生活水準の格差が強調されていた。しかしパリ市内では、そのような問題に敏感であるべき社会主義者が、それを自身の主張に組み込むのは1890年代以降のことであった。 パリでは1900年の市議会議員選挙でナショナリストが躍進をとげ市政を掌握するが、その時点まで継続的に考察することで転換点を探り出す必要がある。今後の課題として残されたことを確認しておきたい。
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Research Products
(3 results)