2020 Fiscal Year Research-status Report
Global History of Nativism, Xenophobia and Racism in the United States
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20K01055
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70262095)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レイシズム / 排外主義 / 移民 / 歴史教育 / アフリカ系アメリカ人 / ヘイトクライム / アジア系アメリカ人 / ゼノフォビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、アメリカ合衆国の排外主義/レイシズムの生成・発展の歴史的過程を時間軸にそって、①南北戦争~再建期、②ポスト再建期(1877~1890年頃)、③革新主義期(1890年代~第一次世界大戦)、④戦間期(1920年代~30年代)と区分して、各時代の排外主義/レイシズムの担い手、運動の政治的資源、運動の特徴を詳細に検討し、その時代区分ごとに、黒人差別、移民差別、科学・思想史的差別がどのように統合されていくのかを検証することである。 研究計画一年目の2020年度は、21世紀においてなお猛威を振るうアメリカ社会の排外主義/レイシズムの生成・発展の歴史的過程とその特質を、南北戦争の戦後処理の時代(再建期)の政治失策にまでさかのぼって、検証することになった。この時代については、基礎的な文献が収集済であったため、これらの文献をもとに「南北戦争の戦後」という歴史的文脈において21世紀のトランプ政権の4年間、ヘイトクライムの隆盛がどのような歴史的意義づけとなるかについて検証作業を行った。また、具体的にブラック・ライヴズ・マター運動の中で、南部連合関連の記念碑や彫像が撤去されたケース、州憲法が修正されたケース、そうした取組への反動から引き起こされた暴力事件などについて、できる限りのデータを収集した。 だが、当初予定していた米国の議会図書館、国立公文書館での史料調査は実施することができなかったため、第一期のクー・クラックス・クランの活動や再建期に活躍した暴力組織に関する史資料の収集はかなわなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[研究実績の概要]に書いた通り、 当初予定していた米国の議会図書館や国立公文書館での史料調査は実施することができなかったが、これまでに収集してきた基礎文献をもとに調査をおおむね順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画二年目の2021(令和3)年度は、②ポスト再建期(~1890年頃)の社会史的考察と歴史教育分析を、当初の予定通り、実施するつもりである。新型コロナウィルスの感染状況をみながら、米国渡航が許される状況になれば、ワシントンの議会図書館、国立公文書館に加え、南部アトランタのジョージア大学や地方公文書館において、南部社会で使われていた歴史教科書を収集し、奴隷制関連史跡が観光地化されている数カ所を訪問する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた米国での長期の史料調査が、新型コロナウィルス感染拡大により実施不可能となったため、次年度に繰り越すこととしたため。
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