2021 Fiscal Year Research-status Report
Women's Repatriation from Siberia Detainment -- A Study from Gender and Socio-Historical Approach
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20K01057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 名誉教授 (40304068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 引き揚げ / ジェンダー / 女性の戦争動員 / 日ソ戦争 / 東西冷戦 / 戦場の性暴力 / 抑留 / ナホトカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、従来の研究成果を社会に還元すべく出版にこぎつけることを研究の主たる目的とし、年度末までに1冊の本として刊行することをめざした。コロナ禍のため、当初予定していた日本の外交文書館、モスクワの軍事公文書館、ハバロフスク地方の公文書館、ならびにサハリン(樺太)の文書館での史料収集に出かけることはできなかったのだが、インタ-ネットを通じて収集可能なものについては入手することができた。例えば、主だったものとしては、『日本新聞』『女性満洲』『満州グラフ』『捕虜体験記』を入手することができた。また、インタビューは控えざるをえなかったが、女性抑留体験者に電話や手紙で改めて事実確認を行い、写真や手記ならびに佳木斯第一陸軍病院の関係者が発行している文集『佳院会会報』を奈良情報博物館で閲覧することができた。2021年度の主たる実績は、そのようにして入手できた資料を読み込み、分析し、成果発表につなげたことであった。2021年6月26日、白木沢旭児氏が主宰する科研のズームによる研究会「日ソ戦争史研究会」では「シベリア抑留における女性」と題して報告し、有益な質問や助言をいただいた。 2021年12月、膨大な努力と時間を要したが、従来の研究成果を単行本にできるだけの荒原稿を作ることが出来た。それを受け、出版社の編集部と調整しながら、2022年2月には完成稿にこぎつけることが出来た。同年4月、人文書院から『満洲からシベリア抑留へー女性たちの日ソ戦争』(410頁)を出版することができた。2022年3月25日には抑留研究会のズームによる定例研究会で「満洲からシベリア抑留へー女たちの日ソ戦争」と題して報告をおこなった。抑留引揚者や研究者から有益な助言や質問をいただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
抑留からの引揚集結地であったナホトカ、ならびに樺太を調査する予定であった。 しかし、ロシアへの旅行は、日本外務省のホームペイジにあるように、ロシア国内全域への渡航がレベル3(渡航中止勧告)へ引き上げられ、ロシアへの渡航はどのような目的であれ中止するよう書かれているので、現在は控えている。 しかし、インターネットによる情報収集やこれまで収集してきた資料の読み込みや分析をおこなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシアへの渡航禁止が解けた段階で、樺太(サハリン)調査に出かけたいと計画している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、コロナ禍や2022年度2月に始まったロシアのウクライナ侵攻で調査旅行を計画していた樺太(サハリン)調査が難しくなった。状況が好転すれば、ソ連からの引揚集結地であるナホトカやソ連からの最大の引揚者を出したサハリンの文書館に出かけ、調査をするつもりである。
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Remarks |
内容の全文は記載されていないが、著者名、論文タイトル、頁数が掲載されている。
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