2023 Fiscal Year Annual Research Report
中世の百科全書にみるヨーロッパにおけるユーラシア認識の変容と再構築
Project/Area Number |
20K01062
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鈴木 道也 東洋大学, 文学部, 教授 (50292636)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 中世フランス / 百科全書 / ヴァンサン・ド・ボーヴェ / イスラーム / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、13世紀から14世紀にかけてフランス王国で編集、制作された百科全書的作品群、とくにヴァンサン=ド=ボーヴェの作品『大いなる鑑』とその俗語翻訳版を対象に、そこに記された異文化圏に関する記述の成立過程と内容、さらにその政策・意思決定への影響を探ることで、中世ヨーロッパの人びとが異文化圏、とくに東方ユーラシア世界をどのように認識し、そしていかなる「外交」政策を展開していたのか、中世における学知と政治との関係を明らかにしようとするものである。本研究活動は、いわゆるグローバル・ヒストリー研究のなかに位置づけられる「前近代ユーラシア世界における文化交流」に関して、その実態をヨーロッパ世界の側から照射するものとなると思われる。2022年度に当該テーマに関わるシンポジウム「13世紀のヨーロッパ・キリスト教世界とモンゴル帝国」を開催した(2022年11月)が、 2023年度に刊行された『西洋史研究』第52号の「2022年度大会共通論題「13世紀ユーラシアにおけるキリスト教世界とモンゴル帝国」趣旨説明・討論」(128頁から131頁および218から247頁)は、このシンポジウムの成果をまとめたものである。また論文"L'evolution des perceptions de l'islam dans le royaume de France a la fin du Moyen Age ", Hypotheses 2022 Travaux de l'ecole doctorale d'histoire, pp. 13-18, 2023および同タイトルの学会発表(Universite; Paris 1 [France]), 18, September, 2023)は、中世の百科全書編者たちのなかでイスラームの信仰とその共同体がどのように認識されていたか分析したものである。
|