2021 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study of the Baptismal and Census Records of the Jesuit-Guarani Missions in the Rio de la Plata Region of South America during the 18th century
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20K01064
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
武田 和久 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (30631626)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イエズス会 / グアラニ先住民 / 布教区 / 洗礼簿 / 住民名簿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度の研究を踏まえて研究成果を公にする取り組みを重視した。具体的には2021年8月にヨーロッパを拠点とするラテンアメリカ史研究者が主要メンバーであるAHILA(Asociacion de Historiadores Latinoamericanistas Europeos)の第19回大会がオンラインで開催、同月23-24日のパネルでスペイン語報告を行った。この報告では17世紀後半に作成された住民名簿の余白に断片的に記されるカシカスゴ(先住民首長の権威が及ぶ支配領域、またその領域権)の相続に関する注釈を手掛かりに、首長の祖父母や父母から子や孫へと名前が引き継がれる際の興味深い事例を幾つか紹介した。現段階ではそうした事例の解釈は検討中だが、イベリア半島起源もしくは先住民グアラニの伝統や慣習との連関が浮上、研究のさらなる深化に向けて有益な知見が得られた。 あわせて2021年11月にはギジェルモ・ウィルデ博士とのスペイン語共著論文Tecnologias de la memoria: mapas y padrones en la configuracion del territorio guarani de las misiones が米国の学術雑誌『Hispanic American Historical Review』第101巻、第4号に掲載された。この論文では18世紀の作成と推定されるイエズス会布教区の一つヘススの地図と住民名簿との比較検討を行い、地図上に示されるグアラニの苗字が首長管轄下のアバンバエと呼ばれる土地を示す可能性が高いことを指摘した。 さらにサンタ・ロサ布教区とは異なる時代・地域でイエズス会士が記した洗礼簿のデータ入力も進めた。現在までのところ、新生児の母親の所属カシカスゴがつぶさに記録されていたのはサンタ・ロサ布教区のみということがわかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の2年目である本年には国際学会での発表や共著論文が刊行され、これまでの研究成果の一端を対外的に広く発信できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
サンタ・ロサ布教区洗礼簿に見られる新生児の母親の所属カシカスゴという記載事項が持つ意味を論じる研究発表を予定しており、そのための準備を進める。あわせて現在まで上がってきている研究成果を踏まえて学術論文を執筆する予定。
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Causes of Carryover |
2021年度も前年度に続いて新型コロナウイルスの感染拡大の収束の見込みが立たず、海外出張ができなかったため。2022年度は感染状況の推移を見ながら海外出張を計画する。
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