2021 Fiscal Year Research-status Report
弥生時代の東北北部と西日本・北海道との交流関係の解明
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20K01072
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 由紀男 岩手大学, 教育学部, 教授 (00552613)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄器加工痕 / 骨角器 / 伐採用厚斧 / 生業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つ目は当該期・当該域の鉄製品の流通及び普及の解明である。具体的な研究方法としては、弥生時代の加工用鉄製品を復元製作し、それによる骨角器の加工実験の成果から鉄製品による骨角器の加工痕を明確化し、その加工痕の追求から上記の目的を達することである。そのために、愛媛大学アジア古代産業考古学研究センターが復元した鉄斧などを参考として、骨角器の加工用と推定される鋳造のノミ先の復元製作を実施した。そして流通のなかでも海上交通の具体相を把握することが必要と考え、当該期の港湾関係資料の検討も行った。石川県輪島市舳倉島の深湾洞遺跡の踏査や和歌山県立紀伊風土記の丘資料館、新潟市文化財センター、胎内市教育委員会の所蔵する港湾関係資料の調査を実施し、主に日本海側の流通構造の把握に努めた。 二つ目は東北北部の伐採用厚斧の系譜を明らかにすることである。そのために島根県埋蔵文化財センター、浜田市教育委員会所蔵の弥生時代の伐採用厚斧の調査を実施し、西日本の当該石斧の検討を行った。 三つ目は当該期の東北北部と北海道との生業にかかわる関係性を把握することである。当初は研究協力者とともに煮炊き用土器の内面炭化物の炭素・窒素同位体分析や土器に残された穀物痕などのレプリカ法による検討を実施する予定であったが、コロナ禍の影響もあり、行うことができなかった。その代替として生業とかかわる煮炊き用土器の容量の分析や煮炊きの痕跡の分析を実施するとともに、両地域の関係性を具体的に示す搬入土器・模倣土器の資料調査を札幌市埋蔵文化財センターと青森県埋蔵文化財調査センターで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による出張予定先の受け入れ制限、代表者や研究協力者の所属先の出張制限(自粛要請を含む)などにより、予定していた調査や加工実験が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた東北北部と北海道との生業の関係性の把握とかかわる、煮炊き用土器の内面炭化物の炭素・窒素同位体分析や土器に残された穀物痕などのレプリカ法による検討は、コロナ禍の影響による出張予定先の受け入れ制限などの影響が大きく、期間内での現地調査と分析が難しい状況となったため、こうした生業の関係性は、現地調査の頻度が少ない煮炊き用土器の容量分析などで代替する。 弥生時代の加工用鉄製品の復元製作は、当初は鋳造品のみを計画していたが、その後の検討により脱炭処理した鋳造品や鍛造品の製作も可能であることが判明したため、より充実した実験を実施するために、これらも復元製作する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による研究代表者・協力者の出張予定先の受け入れ制限や所属先の出張制限(自粛を含む)により、計画していた調査や骨角器の加工実験が実施できなかったため。 炭素・窒素同位体分析やレプリカ法による穀物痕の検討を他の研究方法に代替するとともに、鉄器の復元製作の見直しを行うように使用計画を変更する。
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Research Products
(6 results)