2021 Fiscal Year Research-status Report
学校博物館の成長のためのパブリック考古学的研究:京都府を中心に
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20K01073
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村野 正景 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究センター, 客員准教授 (50566205)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校博物館 / 学校資料 / 学校所在資料 / 博物館 / パブリック考古学 / 文化遺産研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校(小・中・高)に所在する考古歴史資料のよりよい保護・活用のあり方を検討する一環として、資料の所在する場に注目し、それがどのように機能すればよいかを多角的に検討することを目的としている。申請者は、この場を資料の保存や展示をおこなう場になりうると考え、これを学校博物館として捉えた。そのうえで昨年度、京都市学校歴史博物館に協力して研究発表した京都市内の全小学校に対する悉皆調査の成果をまとめ、同館の紀要で公開した。さらに今年度は、調査対象の時期幅を大きく広げて、文献資料や聞き取り、実地調査を実施して、明治期から現代までの日本の学校博物館史をまとめ、その成果を国立歴史民俗博物館刊行の学術雑誌にて公開した。そこでは学校博物館の時代ごとの差異や共通性も明らかにした。こうした現状調査、歴史調査に加えて、参加型実践研究も実施した。すなわち実際の学校博物館の活動に関与し、活動内容、成果や課題を明らかにした。具体的には京都府立鴨沂高等学校の学校内空間を活用した展覧会について、準備段階から関与した。展示技術の支援などもおこないながら、教員と生徒らが主体的に学校資料を展示するという活動の成果と課題を、京都文化博物館の紀要にて紹介した。このほか海外の学校博物館の事例研究をおこない、とくにメキシコにて特別な学校博物館プロジェクトが実施されていたこと、そのプロジェクトモデルは日本での体制づくりの参考になることなどを、学校資料研究会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から続くコロナ禍により学校現場での調査は大きな制約を受けた。そのため府内全域の調査は控えざるを得なかった。しかし、これまでの調査成果を着実に学術雑誌等で公開できたと共に、基礎的研究として国内外の事例に関する文献調査を深めることができたし、学校教員らと綿密な協議によって参加型の実践研究を実現できた。これらによって研究活動を中断することなく、上記のような成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍はいまだ収まる気配をみせていないため、社会の多方面への負の影響と同じく、本研究活動も昨年度と同様に、調査研究への制限は続くと思われる。これは他の社会活動同様に、研究遂行の大きな制限要因となる。そこで感染症対策を適切にとった上で、調査対象の学校教員らとこれまで以上に慎重な協議をおこない、実地調査等を可能な限り継続する予定である。なお感染拡大防止の観点から遠方への外出は控える必要があるため、できるだけ京都市内に調査対象をしぼって、研究遂行を図りたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続いており、移動や人との接触の制限があったため、交通費とアルバイトへの謝金の支払いが予定よりも大幅に少なくなった。しかしその分を詳細なデータ分析をおこなうための書籍や関連資料の購入にあてた。それによって物品費は当初の見込みよりも大幅に支出が増えた。次年度は研究最終年として、感染症対策をとりつつ、未調査校の実地調査をおこないデータの拡充に努めるとともに、今年度までの未使用額をもってより充実した成果報告書を作成し、成果公開を図る予定である。
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Research Products
(10 results)