2022 Fiscal Year Annual Research Report
横穴式石室の三次元計測による6・7世紀の地域支配の実態解明:北部九州を中心に
Project/Area Number |
20K01076
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻田 淳一郎 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (50372751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 考古学 / 古墳時代後期 / 横穴式石室 / 三次元計測 / 北部九州 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は研究期間の最終年度であり,年度の途中までは石室の撮影および分析を行った。北部九州各地の横穴式石室に関して形態・構築技術に関する検討を進めるとともに,北部九州における前方後円墳の築造停止をめぐる問題についての論文化を行った。これらについては,その成果の一部を論文として公表している。 年度の後半には,福岡県・佐賀県内の横穴式石室を中心に,写真撮影・三次元計測を実施し,並行してそれらの構築技術や系譜の分析を行った。具体的には,福岡県朝倉市・筑前町・うきは市・八女市・福岡市・春日市・筑紫野市・飯塚市・苅田町・行橋市・上毛町,佐賀県神埼市・武雄市・唐津市周辺の横穴式石室を主な対象として撮影および分析を行った。その際,前年度まで行っていたMetashapeを用いたフォトグラメトリに加え,iPad ProのLiDARによる撮影・三次元モデルの構築を並行して行うことで,より効率的な撮影と観察が行えるようになった。また6・7世紀の石室に加えて5世紀後半代の石室についても資料化を行うことにより,6世紀代における各地の石室の地域性発現過程を検討することができた。具体的には,5世紀後半段階で北部九州型初期横穴式石室が広く築造された後,6世紀前半段階で石材の大型化・羨道の付加および玄門部形態の変化が認められ,地域ごとに特徴的なあり方が出現することを確認した。また横穴式石室の年代の基準となる出土遺物についても一部資料化を行った。これらの成果は今後公表予定であるが,本研究課題については,内容の一部を継承しつつ次年度以降に新たな研究課題として検討を行う予定であり,九州各地の横穴式石室について,引き続き撮影および検討を進める。
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