2020 Fiscal Year Research-status Report
アジア太平洋戦争期の戦争遺跡における公共考古学的研究
Project/Area Number |
20K01078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安藤 広道 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (80311158)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦争遺跡 / 公共考古学 / 360度パノラマ動画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、コロナ禍の影響により、本研究の根幹である戦争遺跡の調査、研究会や遺跡見学会等の開催を全て中止せざるを得なかった。年度を通して感染状況を注視しつつ、調査や研究会開催のタイミングを模索し続けてきたが、結局、年度末まで開催の目途が立たないまま時間が経過してしまったのはきわめて遺憾なことであった。また、少なからぬ数の研究協力者が、ビデオ会議システムを使用できる環境をもっていなかったため、遠隔での会議や研究会等の開催も困難であった。以上のことから、遺跡調査、研究会・見学会の開催に向けた準備作業として、ひとまず個々人で進められる調査・研究に取り組むとともに、これまで実施してきた調査の成果をまとめる作業を進めることにした。研究代表者は、この間、2019年度までに各地の地下壕や掩体壕等で撮影してきた360度映像・画像の再編集や米国戦略爆撃調査団文書の調査とリスト化などを主に行ってきた。 そうしたなかでも、11月20日~12月6日に鹿屋市で開催された「鹿屋の記憶-75年前の真実を未来につなぐ―」展(鹿屋市主催)に、研究代表者が協力者として参画できたことは、ささやかながら本研究の成果になったものと考えている。同展示において、第五航空艦隊司令部地下壕の実測図や360度パノラマ動画を含む、これまでの研究代表者の調査・研究成果のいくつかを展示・公開させていただき、そうした記録類の公共考古学的観点からの意義と可能性を、来場者の反応を見ながら確認することができたのは大きな収穫であった。また、2020年12月29日の南日本新聞に、研究代表者のこれまでの調査・研究の成果や本研究の目的を紹介する記事が掲載されたことも、本研究の意義を広く知っていただく得難い機会になったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
戦争遺跡の公共考古学的研究を目指す本研究では、さまざまな立場の研究協力者とともに、遺跡の調査、研究会、遺跡の見学会等を実施することが不可欠である。研究の遅れの理由は、コロナ禍によりそれらが全く実施できなかったことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、残念ながら現時点では、戦争遺跡の調査、研究会、遺跡見学会等の具体的な実施計画を立てることは困難である。ただ、ワクチン接種の進展等によりコロナ禍の終息が見えてきた際に、速やかに研究活動を開始できるよう、研究協力者との連絡を密に取りながら、個々人で可能な調査・研究、及びこれまでの調査・研究成果をまとめる作業等の準備を進めておく必要がある。 また、コロナ禍による大幅な研究の遅れに鑑み、研究全体の計画をほぼ1年後ろ倒しにし、最終年度となる2022年度に補助事業期間延長承認申請を行って、研究期間を1年延長することを考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本研究の根幹である戦争遺跡の調査、研究会や遺跡見学会等の開催を全て中止せざるを得なかったことにある。 2021年度は、コロナ禍の状況を注視しつつ、まずは2020年度に予定していた調査、研究会、見学会を実施することを目指す。当初2021年度に予定していた活動については、その多くを2022年度に移行せざるを得なくなるため、そこで生じる次年度使用額を2022年度に回すことにする。2022年度に実施予定だった活動は、補助事業期間延長申請を行ったうえで、同様にほぼ1年後ろ倒しにして2023年度に実施することとし、そこで発生した次年度使用額については2023年度に全て執行する計画である。
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