2023 Fiscal Year Annual Research Report
環太平洋における戦跡水中文化遺産の保護体制確立に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
20K01093
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 裕見子 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (10845754)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
片桐 千亜紀 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (70804730)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 第二次世界大戦 / 太平洋 / 水中文化遺産 / 潜水調査 / 文献資料調査 / 保護体制の検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度に実施した、グアムのアプラ湾での潜水調査を引き続き本年度も実施した。戦跡水中文化遺産が多く所在するアプラ湾内で、令和4年度に引き続き、民間から徴用された日本の輸送船の東海丸と、マリアナ沖海戦時に沈んだ99式艦上爆撃機(二二型)を対象に潜水調査を行った。2件の遺跡について、写真測量をもとにした3Dモデルを作成し、昨年度の試作データの補足・改良を試みた。99式艦上爆撃機については、破壊されて海底で大きく3箇所に分散している機体が接合することが確認できた。合わせて機体及び機体の3Dモデルを詳細に観察することで、墜落時の様子を復元検討した。併せて、同じグアムの陸上で遺され、太平洋戦争博物館(Guam Pacific War Museum。コロナ禍以降休館中)に展示されていた99式艦上爆撃機の尾翼部分についても3Dモデルを作成した。 戦没した船と会員の資料館、防衛研究所資料室での関係資料調査も継続して行っており、99式艦上爆撃機の構造に関する当時の資料を見つけ、3Dモデルとの比較検討を行った。 グアムでの調査成果の一部については、令和5年8月にNHKスペシャルのテーマとして大きく取り上げられ、第二次世界大戦に関わる水中文化遺産の保護と平和教育への活用をめざす中で、普及啓発を進展させることができた。 一方で、国内において継続的に調査研究を続けている戦跡水中文化遺産であるUSSエモンズ(沖縄県古宇利島沖所在)について、米海軍の研究者と継続的に打ち合わせを行いつつ将来の保存活用計画について検討を続けいている。その中で、令和5年12月にユネスコ主催の戦跡水中文化遺産に関するワークショップで研究成果を報告した。
|