2023 Fiscal Year Annual Research Report
Basic study on the chronology of the relics excavated from the Bohai Kingdom (698-926) site in the Russian Primorye region.
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20K01096
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小嶋 芳孝 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (10410367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 浩人 青山学院大学, 文学部, 准教授 (10582413)
中村 亜希子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部<平城地区>, センター長 (60600799) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 渤海 / 八連城 / クラスキノ城跡 / 花文帯金具 / 靺鞨系帯金具 / 渤海系土器 / 平城京 / オホーツク文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ソウル大学博物館所蔵渤海遺物調査(8月27~30日)、済州島龍潭洞遺跡出土花文帯金具調査(9月11日)、函館市立北方民族博物館所蔵モヨロ貝塚(網走市)出土遺物調査(2月10日)、オホーツクミュージアムえさし所蔵目梨泊遺跡出土資料査と北海道大学総合博物館所蔵香深井1遺跡出土陶質土器の再検討(3月21~23日)などをおこなった。ソウル大学博物館所蔵の中国吉林省延辺地内の八連城出土の遺物は1937年に鳥山喜一・藤田亮策らの採集遺物で、ロシア沿海地方クラスキノ城跡出土遺物と共通する瓦当や土器を確認した。済州博物館所蔵の龍潭洞遺跡花文帯金具は、大津市穴太遺跡の9世紀後半の溝から出土した花文帯金具と同じ文様で、ロシア沿海地方や中国北部で出土した渤海の花文帯金具の初期の様相を示す資料である。オホーツク文化のモヨロ貝塚と目梨泊遺跡出土の靺鞨系帯金具は、ロシア沿海地方の渤海遺跡でも出土しており年代を検討できる資料を得た。 本研究は、ロシアでの調査を前提にしていたが2020年度にコロナの影響でウラジオストクへの空路直行便が停止され、さらに2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻によりロシアでの調査は困難になった。そのため国内や韓国に所蔵されている渤海や大陸系遺物の内、ロシア沿海地方と国境を接している中国吉林省延辺地方出土資料の調査をおこなった。福井県立歴史博物館、東京大学、ソウル大学博物館が所蔵する八連城等の出土遺物調査では、ロシア沿海地方の渤海遺物と対比できる基礎資料を得ることができた。さらに、奈良市埋蔵文化財センターで平城京左京五条四坊十六坪の井戸SE513出土から8世紀末~9世紀初頭の土器と共伴した渤海系土器を調査し、渤海土器編年の定点となる資料と評価した。ロシアでの現地調査は実施できなかったが、今後の調査再開に向けた基礎資料を得ることができた。
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Research Products
(12 results)