2022 Fiscal Year Research-status Report
中央アナトリアにおける銅石器~前期青銅器時代の文化動態
Project/Area Number |
20K01097
|
Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
紺谷 亮一 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (50441473)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | キュルテペ / 銅石器時代 / 大規模建築址 / 埋納土器 / 日干しレンガ |
Outline of Annual Research Achievements |
主に発掘調査で大きな進展がった。 中央アナトリアに位置するキュルテペは、当該地域最大級の規模(570×480m)をもち、中期青銅器時代の基準遺跡となっている。近年、前期青銅器時代後葉のモニュメントと考えられる大規模建築址が検出された。また、未だ地山までの厚い堆積層が確認されていることから、銅石器~前期青銅器時代前半の文化層が存在する可能性が極めて高い。本発掘調査の目的は、当該時期の編年確立や文化動態把握のための土器資料を得ること、および大規模建築址の変遷や集落構造を明らかにすることである。 上記の課題を明らかにする為に、2021年度に引き続き、2022年度もテル中心部に位置するワルシャマ宮殿(4000年前)内部に設定した中央トレンチの発掘調査を継続した。ここでは、日干しレンガ壁からなるジグザグプランを呈する大型建築址が確認された。中でもROOM1と名づけた部屋は注目に値する。幅1.5mの壁に囲まれた当部屋内隅(南西隅、北東隅)には埋納土器(大型土器)が設置されており、内部にはさらに小型土器があり、入れ子状態になっている。また、石製のドアソケットもみつかっている。また、径2mの炉や木柱跡らしきピットも確認されており、なんらかの儀礼が行われて可能性がある。 部屋内からは特徴的な白色象嵌が施された黒色磨研土器片が出土している。これに類似した土器はブユック・ギュレジック等、黒海沿岸地域の北アナトリアとの繋がりを示すものである。放射性炭素年代測定法によれば、この部屋の年代はBC3300年である。これにより、キュルテペにおける銅石器時代の存在が確実になった。 これらの成果を国際キュルテペミーティング(略称KIM)や日本西アジア考古学会で発表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ下で、現地での滞在日数、研究者間のコンタクト、発掘調査に携わる現地作業員の確保に、必ずしも充分に対処できなかった点がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
キュルテペ中央トレンチの規模を拡大し、日干しレンガからなる大型建築址のプランを明らかにする。また、トレンチ内を深く掘り下げ、前期銅石器時代文化層の有無を確認する。現在、進行中の遺跡空間データベースを駆使し、発掘成果と共、に東西アナトリアにおける既存研究や南北メソポタミアにおける都市形成論との比較を通じ、汎アナトリアひいては西アジア周縁部の都市形成過程について議論する。 また、既成果を海外学術雑誌の投稿する。また、国内ではマスコミに情報を流し、その成果を広く社会に還元する。
|
Causes of Carryover |
コロナ下で現地での滞在日数、研究者間の情報共有、現地での発掘作業員の確保が、予定通りにいかなかった事が大きな要因である。
|
Research Products
(3 results)