2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01098
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
武末 純一 福岡大学, 公私立大学の部局等, 研究特任教授 (80248533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 達朗 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (00582652)
村田 裕一 山口大学, 人文学部, 准教授 (70263746)
古澤 義久 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40880711)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 石硯・研石 / 海村 / 弥生時代・古墳時代 / 天秤権・棹秤権 / 使用痕跡 / 砥石 / 石質 / 十進法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もコロナ禍のために資料調査が計画通りにはできず、韓国からの研究員も招へいできなかった。 研究活動では10月10日に糸島市立志摩町歴史民俗資料館で開催された第3回板石硯・研石研究会での御床松原遺跡出土品の検討会に、武末、足立、古澤の3名が出席して石硯・研石候補資料を検討するとともに、武末は御床松原遺跡の研究上の位置づけを発表した。その会で示された石硯未成品について石鎌未成品の可能性を探るために、武末は長崎県原の辻遺跡出土品を検討した。その結果、石硯未成品とは言えないと判断した。これは福岡県古賀市鹿部山東町遺跡出土品も同様である。10月29日には武末、村田、足立、古澤の4名で、福岡県筑前町出土の石硯・研石候補資料を検討し、薬師ノ上遺跡出土品1点のみが候補に残る結果となった。1月6日・7日には念願の東京大学保管楽浪郡関係石硯・研石資料をすべて、武末、村田、足立、古澤の4名で調査できた。また、これに先立って武末は、滋賀県出土の権関係資料や、下鈎遺跡の石硯候補資料、観峰館所蔵の中国出土石硯を調査した。その結果、現在国内で報道されている石硯・研石候補資料のほとんどは、中国や楽浪郡関係の石硯・研石とは使用痕跡が異なると認められた。これらの調査によって砥石との判別は、石質からの検討も加味して、かなり可能になってきた。 弥生時代の権の研究では、新たに福岡県春日市須玖遺跡群で30倍の円筒権(転用権)が判明し、福岡県糸島市海徳寺遺跡や島根県松江市布田遺跡で天秤権の新資料を確認するとともに、春日市赤井手遺跡では棹秤権を確認した。武末は須玖遺跡群の10倍権に関する論考を公表し弥生時代の十進法についても発表した。古澤は楽浪土城出土半両銭の鋳型が、そこで鋳造に使用されたとは言えないとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究では石硯・研石候補資料を実際に観察・実測して、研究代表者・研究分担者が一緒に使用痕や石質を検討することが一番大事だが、昨年度に引き続いてコロナ禍による国立大学の出張規制などが極めて厳しくて予定調査の半分ほどしか実施できず、研究が遅れる原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収まり次第、島根県や福岡県・佐賀県の資料を中心に、近畿地域の資料も含めて研究代表者・研究分担者が一堂に会して調査し、砥石か否かや石器の未成品ではないかを判別する。韓国から研究者を招へいするとともに、韓国での資料調査も実施する。一定の成果が得られた段階で研究代表者・研究分担者が一堂に会した研究会を実施する。そして時期を見ながら中間報告を公表し、広く研究者間の理解を得ながら、できる限り弥生・古墳時代石硯・研石候補資料の再検討を進めて、最終報告書のまとめに入る。
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Causes of Carryover |
【理由】コロナ禍で資料調査があまりできず、学生も考古学研究室での活動が厳しく制限されたためアルバイトに雇えなかった。また、韓国の研究者も招へいできず、研究活動の多くの部分を2022年度に繰り越さざるを得なかった。 【使用計画】島根県や福岡県・佐賀県の資料を中心に、近畿地域の資料も含めて研究代表者・研究分担者が一堂に会して調査し、砥石か否かや石器の未成品でないかを判別する。韓国から研究者を招へいするとともに韓国での資料調査も実施する。学生アルバイトによる調査資料の整理も実施する。一定の成果が得られた段階で研究代表者・研究分担者が一堂に会した研究会を実施する。そして時機を見ながら中間報告を公表し、広く研究者間の理解を得ながら、できる限り弥生・古墳時代の石硯・研石候補資料の再検討を進めて、最終報告書のまとめに入る。
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