2023 Fiscal Year Research-status Report
An Archival Study to Facilitate the Utilization of the "Research Materials" in Natural History Museums
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20K01122
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐藤 崇範 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 客員研究員 (80826082)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 研究資料 / アーカイブズ / 自然史系博物館 / 学術資源化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者等が学術研究の過程で作成・収集した一次資料が主体の「研究資料」は、学術資源として高い潜在的価値を有する。「研究資料」の活用を効果的に進めるためには、アーカイブズ学に基づいて整理・分析を行い、資料全体の構造を把握することが必須であるが、現在、研究機関や博物館等が所蔵している「研究資料」でさえ、多くは未整理の状態にあり、その学術的価値を十分に示すことができておらず、活用にも支障が生じている。本研究では、自然史系博物館に自然史標本とともに寄贈された「研究資料」に着目し、まずその現状把握を行った上で、アーカイブズ学的手法を用いて「研究資料」に最適な資料整理論を構築し、活用促進の基盤づくりを進めることを目的とする。 2023年度は、前年度に実施したアンケート調査の結果を取りまとめ、国内の自然史系博物館における「研究資料」の現状を分析した。その結果、今回対象とした「自然史標本を所蔵する博物館及び関連施設・機関」(以下、博物館等)204館中、回答があった112館のうち半数を超える63の博物館等が「研究資料」を所蔵していると回答した。また、展示・管理・研究などでの利活用事例も多く示された。しかし、閲覧可能な目録を提供しているのは14の博物館等にとどまった。 「研究資料」は自然史標本の情報を補完する貴重な情報源としてだけでなく、展示や研究利用など多様な利活用がみられるものの、目録作成や所蔵情報の公開は進んでいない。その理由として、人的・予算的な面だけでなく、「研究資料」が自然史標本の「付属資料」と位置づけられているため優先順位が低いこと、プライバシーやセンシティブ情報への配慮などが挙げられた。これらの結果は、速報的に全日本博物館学会第49回研究大会で発表するとともに、アンケートに協力していただいた博物館等にも希望に応じて共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19流行によって着手が遅れていた、自然史博物館等へのアンケート調査を実施し、その分析を進めるとともに、各地の自然史博物館を訪問して、担当学芸員へのインタビュー調査を継続している。それらの成果の一部は、学会大会や論文等で公開予定である。しかし、2023年度中に実施予定であった、資料整理実践の取りまとめ、これまでの調査結果を踏まえた自然史系博物館で導入し易い資料整理手法の検討が十分に行うことができず、補助事業期間を延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で最終年度に実施予定であった、研究資料の資料整理実践の取りまとめ、これまでの調査結果を踏まえた自然史系博物館で導入しやすい資料整理手法の検討及びその成果の発表は、期間延長した2024年度に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度までのCOVID-19流行継続と2023年度からの研究環境の変化により全体のスケジュールに遅れが生じたため。 2024年度は、現地インタビュー調査を継続するとともに、アンケート調査等の研究成果を取りまとめ、学会等での口頭発表・論文等の投稿準備を進める。また、研究資料の資料整理実践とそれに基づいた資料整理手法の検討なども含めた全体的な事業の成果もとりまとめる。
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Research Products
(1 results)