2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishement of museum collection using material from field ecological surveys
Project/Area Number |
20K01135
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
谷田 一三 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (20167505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 吏樹郎 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 主任学芸員 (90321918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 野外生態研究 / 採集地登録 / 資料登録 / バウチャー標本 / 凍結乾燥標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪市立自然史博物館博に既設の大型凍結乾燥装置を用いて,15点程度の水生昆虫類(カゲロウ,カワゲラ,トビケラ各目)の幼虫の新規凍結乾燥標本を試作した.形態及び体色ともに保存状態の良好な幼虫標本を作製できた.手法的には確立したので,さらに資料を収集して冷凍保存を行う予定である. 液浸系標本の収納では,個別のサンプル瓶とそれらをまとめて収納する容器の規格の統一が重要であるが,その基本となるサンプル瓶(スクリューバイアル:日本電気硝子株式会社製)と透明スチロール容器の規格を確定した. 過去に収集した水生昆虫類標本について,定量的及び定性的に採集して保存されていたバルク標本の選別と収蔵方針を確定することができた.主に選別や収納を行った水生昆虫資料は,滋賀県内河川と湖沼(主にトビケラ目),愛知県矢作川中流域の蘚苔マットの水生昆虫群集であり,現在選別と登録作業中の資料は,琉球列島河川(水生昆虫及び水生動物),尾瀬ヶ原総合調査の湖沼(池溏)と河川(トビケラ目,トンボ目など)などである. 日本各地から採集された標本について,採集地情報の登録を,県名2文字,市町村名2文字,採集地点名のアルファベットコードで登録するシステムを確立した.例としては,滋賀県高島市弁天島:SGTKBenten;滋賀県大津市針畑:SGOTHarihata.直感的にも分かりやすいもので,ファイルメーカープロを利用して,産地の登録を行い,それを利用して,滋賀県の湖沼河川などの標本データの,約1400件の登録(原則として種ごと)を完了することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去に収集した資料の,整理・登録・分類については,順調に進行しているが,新鮮な標本を利用して作成する予定の凍結乾燥標本については,新型コロナ感染拡大に伴う野外調査の制限で,十分な数を作成できなかった. 産地などの登録システムについては,国土地理院地図などを利用して,約200地点のアルファベットコードと緯度,経度,標高などと地点名の紐付けを行った. 生態調査などによって取得したバルク状態の標本については、1)保存容器の保存液の更新してそのまま保存、2)目レベルなどの高次分類群ごとに保存,3)種レベルを基本として採集地,日時などで分割して保管の3レベルを基本として,保管・収蔵へのフローを,実践的に検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
滋賀県の湖沼・河川の水生昆虫標本については,分類同定の確認と精査を行い,滋賀県琵琶湖博物館及び当館(大阪市立自然史博物館)の標本として,登録・収蔵する.この記録については,部分的には種レベルの記録として公表してあるが,詳細な記録を付してデータベースと印刷公表論文との2本立てで公表する予定である. 新鮮な水生昆虫類標本を採集し,凍結乾燥標本の作製を進めるとともに,その一部の標本については,形態や色彩だけでなくDNAの保存状態についても,検討を行う. 保管している,過去の標本,とくにダム建設以前の琉球列島河川の水生昆虫標本については,バルク標本から,博物館等における収蔵や分類学的検討に耐える標本を作製する.同様の工程を,過去の尾瀬ヶ原の総合調査(1980,1990年代)などで取得した標本についても行う.
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Causes of Carryover |
初年度の予算を使用して,小型の凍結乾燥装置を購入する予定であったが,大阪市立自然史博物館に既設の大型の凍結乾燥機は,年式は古いものの,購入予定の機種よりはるかに高性能であったため,その利用に切り替えたため.
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