2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K01142
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
森本 真紀 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30377999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古気候学 / サンゴ骨格 / 水温 / 塩分 / 台風 |
Outline of Annual Research Achievements |
台風の接近は数多くの災害を引き起こし、人間の生活に大きな影響を与えることから、その発生数や規模・経路は重要な情報である。過去の気候を復元する地質試料であるサンゴ年輪の大きな特徴である、高時間分解能であることを活かし、同位体組成及び金属濃度比分析から水温と降水についての季節内の詳細な変化を示し、現在との比較から、過去の温暖期の沖縄県八重山諸島における台風や豪雨の変動の復元を目指している。 2021年度は,これまでに分析したサンゴ年輪データの検討から,水温と塩分の復元精度をより高めるための分析手法の検討を行った。ICP発光分析法を用いた金属濃度比(Sr/Ca比)からの水温の復元精度を高めるために,用いる標準液と測定方法の検討やこれまでに測定した試料の繰り返し測定を進めた。また,低時間分解能のサンプリングでは大きな問題ではなかった,サンゴ年輪試料からサブサンプリング(エンドミルにより削り出し)を行う際の前後の試料の包含期間が一部重複することについて,サンプリング方法の改良を試みた。 さらに,サンゴ年輪データと気象イベントの比較における検討事項として,台風や豪雨による大量の降水が海水の塩分と酸素同位体比を低下させるが,台風や豪雨の酸素同位体比が他の降水イベントとどの程度値が異なるかを調べるために,1年を通じて1週間単位での降水観測を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンゴ年輪試料の金属濃度分析の分析法の改良と繰り返し測定に関して、研究協力者2名の協力と研究代表者と研究協力者の所属講座の学生の協力を得て進めた。サンゴ試料のサンプリング方法の改良については名古屋大学環境学研究科において、金属濃度比測定は総合地球環境学研究所においておこなった。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言や大学規定での自粛期間によって、県境を超える移動が難しい期間が年間を通して続いたことから,降水の観測地点は沖縄県ではなく岐阜県岐阜市に設置し,毎週の降水採集とpHや電気伝導度などの測定を継続して行っている。昨年度に引き続き,県境を越える移動が難しい時期や,学生が登校できない時期が続いたことも重なり、実験の進捗が遅れることとなったため,サンゴ年輪試料の酸素同位体比分析を今年度は実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,2021年度に終えることができなかったサンゴ年輪試料の酸素同位体比分析の続きと,金属濃度分析の分析法の改良を行う。さらに,試料のサンプリング方法の改良による分析データの精度向上の検証を行うため,初年度に測定した高時間分解能分析を行った試料についての再測定も進める。また,台風や梅雨などの多量の降水の酸素同位体比の特徴を調べるために初年度より採集を続けてきた降水試料について,酸素・水素同位体比測定を行う。以上を基に,石西礁湖(八重山諸島石垣島)における気象観測記録とサンゴ骨格年輪記録の対比から、台風・大雨検出条件を検証を開始する。この2年間の緊急事態宣言と大学の学外活動等の自粛期間により分析の進捗が遅れていること,また試料の前処理や測定にはプロセスごとに数ヶ月単位での時間が必要であり,その特性から一気に短期間で進めることは困難であることから,現時点では本課題の研究期間の延長を検討している。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き,新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言のため、県境を超える移動が難しい期間が年間を通して続いたことや、また、年度の一部期間は学生が必要最小限の時間しか登校できない時期が続いたことも重なり、他研究機関における分析(酸素同位体比、金属濃度)が予定通り行えなかったことと、サンゴ試料の削り出しや整理などの作業の進捗が遅れたため、旅費、謝金、装置利用費を予定通り使用することができなかった。本年度行うことができなかったこれらの分析等を次年度以降に行う計画である。
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