2022 Fiscal Year Annual Research Report
電信電話総合地図を活用した細密集落データの作成と応用可能性に関する研究
Project/Area Number |
20K01143
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡邉 敬逸 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (30711147)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電信電話綜合地図 / マイクロジオデータ / 集落 / 無住化 |
Outline of Annual Research Achievements |
地理学では人間活動を地表に位置づける枠組みの一つとして「集落」は重要な意味を持つものの,日本では「集落」が指し示す地域スケールの疎密に地域的差異が認められ,特に集落を調査単位とするマクロスケールの地理学的研究では地域スケールの異なる「集落」が混在することとなるため,地理学的に意味のある調査単位での集落調査が困難な状況にある。そこで本研究では、こうした課題を克服する可能性を持つ資料として1950年代に作成された電信電話綜合地図を見出し,その特性の検討、本図を活用した集落データの作成、その応用研究を通じて,集落を対象とする地理学的研究の研究基盤を確立することを目的として研究を実施した.まず本図の特性を検討した結果,本図は概ね同時期に作成された通信地図全図の転写に基づくものと判断された.通信地図全図は地籍資料等に基づいて地物が記載されているだけではなく,実測図であることから,その転写により作成された本図はその地物情報と地図精度において高い信頼性が指摘できる.次いで中四国地方分の電信電話綜合地図をGISにより幾何補正するとともに,これに記載される集落情報をポイントデータとして記録した結果,国土基本情報の3倍弱に相当する集落数が採録され,本図における集落情報の高い空間分解能が明らかになるとともに,その集落名は小字名だけではなく通称地名も含まれていることから,本図における集落の細密性と均一性に加えて,地名資料としての有用性も指摘された.最後に,応用研究として前段の作業から得られた集落データと人口データとのオーバーレイによる無住化集落の把握を実施した結果,従来の研究を大きく上回る数の無住化集落が把握された。以上の結果は集落調査における電信電話綜合地図の高い応用可能性を示すものであり,その存在は今後の集落に関わる地理学的研究の研究基盤として少なくない重要性を持つことが指摘できる.
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Research Products
(6 results)