2020 Fiscal Year Research-status Report
New formation of controlling power over urban space in contemporary Japan
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20K01156
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森 正人 三重大学, 人文学部, 教授 (10372541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポスト人間中心主義 / 粘的多孔性 / デジタル / 都市権力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は2020年の東京オリンピック、2025年の万国博覧会開催に際して、都市がデジタル技術をとおしてどのように管理対象として編成されていてくのかを明らかにするものである。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大にともなって、東京オリンピックの開催は延期され、かつ移動が制限されたため、東京都への出張ができなくなった。 そのために研究計画に修正を加えた。すなわち、2020年度は人文学における人間と機械の形而上学的前提の反省について、おもに英語圏の文献を収集し、その議論の経緯をまとめることとした。それによって、人間と機械だけでなく、人間と物質や自然との間の形而上学的前提もまた問いに付した。この内容は、文化地理学の学史的整理としても有効であると考え、それを原稿にまとめる作業を併せて行った。 この英語圏人文学における議論の整理は、2020年度の人文地理学会大会(オンライン開催)で、オンデマンド型で発表を行った。タイトルは「粘的多孔性と文化の地理」であり、発表は動画としてYoutubeで配信した。この内容に対して、一名からの質問があり、Youtubeのウェブサイトをとおして回答した。視聴者数は不明である。対面の発表ではないので、具体的な会場の反応も不明ではあるが、メールで寄せられた内容からは概ね好評であったと考えられる。 また、本研究の問題意識のより包括的テーマである人間中心主義批判として、日本ビデオニュース社が放送する番組「激トーク」に出演し、コロナウィルスやデジタル技術と人間との関係について対談を行った。番組の司会は神保氏、対談相手は社会学者の宮台真司氏であり、番組は2021年1月4日にオンデマンド形式で放送された。これについても、番組を視聴した何名かからメールを受け取り、好評であったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大にともなって、現地調査や聞き取り調査が不可能な状態である。また、オリンピックの開催も不透明である。そのため、計画を変更し、人文学における関連諸概念の整理と展開を行っている。この新型コロナウィルスの収束が遅れれば大きな遅れれば大きな遅延が生じる可能性があるが、現時点では方向修正によって進展事態に遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大によって今後の研究の方向性は不安定である。しかし、2020年度は人間中心主義に関する人文学の概念整理を行ったので、前年度と同様の状況が続くと予想される2021年度は文化地理学におけるポスト人間中心主義までの学史的展開と転回を跡づけることで、本研究課題にできるだけ沿う形での研究を推進したい。具体的には2021年度は文化地理学における学史展開の書籍を出版する予定である。 2022年度は新型コロナウィルスの感染拡大の収束があれば、2021年に開催されているはずの東京オリンピックにともなうデジタル技術の導入過程について聞き取りなどを行いたい。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウィルスの感染拡大により、移動が制限された。これにより当初計画していた、資料収集や聞き取りのための出張、国際学会のための海外出張などができなくなった。
使用計画:現地調査および学会発表等に使用する予定である。
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