2023 Fiscal Year Annual Research Report
New formation of controlling power over urban space in contemporary Japan
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20K01156
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森 正人 三重大学, 人文学部, 教授 (10372541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化地理学 / ポスト人間中心主義 / デジタル / 集合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、デジタル技術をとおした都市管理の新しい形態を明らかにするものである。2023年度は、デジタル技術によって「人間」という形象の定義がどのように変化しうるかを、フランスの思想家のジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリによる「集合体」という概念をとおして考察した。そのため、ドゥルーズとガタリの一連の著作を読むとともに、英語雑誌に掲載された近年の論文で「集合体」という言葉によってどのようなことが議論されているのか、とくにデジタル技術と人間の集合体に関する論文を中心に明らかにした。この作業のために、他大学の図書館にて文献の閲覧と収集を主に行った。 とくに、本研究では、2010年代後半,内閣府によって策定された第五期科学技術基本計画において,サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のあり様として打ち出された「Society 5.0」と、その延長線上で2025年に開催予定の関西万国博覧会におけるデジタル技術についての実証的な研究を試みた。 2020年度から23年度の4ヵ年の研究成果の一つの集大成として、人文地理学会大会(2023年11月に法政大学で開催)において「地理的集合体としての人間=機械」というタイトルで発表を行った。発表では、4ヵ年の取り組みを紹介したのち、集合体という概念が人文地理学に対して有する学術的意義について述べた。 さらに、デジタル技術と人間の集合体は、2000年代の英語圏では「ポストヒューマニズム」として論じられており、このポストヒューマニズムという視点から場所をとらえ直す書籍を執筆した。書籍は2024年に刊行予定であり、本事業を広く社会に還元する予定である。
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