2020 Fiscal Year Research-status Report
Sustainability of land use for deceased in East Asian metropolitan areas
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20K01159
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
土居 晴洋 大分大学, 教育学部, 教授 (40197992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南埜 猛 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (20273815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 東アジア / 地形図 / 土地資源 / 文化 / 価値観 / 政策 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,研究代表者(土居)・分担者(南埜)ともに令和2年度に予定していた中国・台湾・東京都への資料収集等を目的とする出張を行うことができなかった。このような状況のもとではあるが,令和2年度は次の3点に関して研究を進め,研究対象地域の「死後の土地利用」に関する統計指標の時系列変化や政策的対応などの基礎的考察が行うことができた。 (1)中国(広州市)に関しては,統計年鑑等による死亡者数の時系列変化分析などを進めた。広州市では死亡者数が1980年頃以降,継続的に増加していることがわかった。また,火葬の推進や伝統的な習俗抑制などの殯葬改革について,1990年代以降の状況を整理した。なお,土居が令和元年度まで実施した中国全域および北京市の死後の土地利用の研究に関して,令和2年度に文献の追加や考察の精緻化を進めた(雑誌論文1)。 (2)台湾に関して,南埜は中華民国内政部が公表している資料に基づいて,台湾の都市人口や高齢化,死亡者数,火葬率等について1960年代以降の推移を分析した。その結果,1970年頃以降,死亡者数が増加傾向にあること,火葬率が継続的に上昇していることなどを明らかにした(学会発表1)。また, 1920年代の外邦図など複数時点の地図資料によって,台北市の墓地の分布をGIS上で地図化し,墓地の空間的分布の時系列変化を概観した(学会発表2)。 (3)日本については厚生労働省が公表する1996年以降の統計データにより,都道府県単位の動向を分析した。全国的には死亡者数の増加に伴い,埋葬数だけでなく,改葬数も増加しているが,墓地数や納骨堂数に大きな変化はない。また,納骨堂は大都市圏などで増加しているが,県毎のバラツキも大きいことなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は日本(東京都市圏)と中国(広州都市圏)を主に土居が,台湾(台北都市圏)を南埜が主に担当する。国内外への出張が実質的に困難であった令和2年度においては,本科研開始に先立って,両名が個々に現地調査などで取得していた資料・データおよびインターネットホームページなどで公表されたデータ等の分析を中心に行った。その研究成果は【研究実績の概要】に示した通りである。 当初予定していた両名の研究打合せは出張が困難であったため,メール等によって行った。研究対象地域の外邦図や地形図,文献・統計資料の収集に関しては,ホームページ等で可能な範囲の収集を行ったが,比較的近年の資料が中心である。また,そのようにして得られた資料についても,作成方法やデータの定義を十分に確認することができないものがある。早期に研究対象都市の行政機関等において,これら疑問点を含めて,さらなる資料収集や聞き取り調査が必要である。 一方で,令和3年度の実施を予定していた墓地の分布のGIS上での地図化については前倒しで作業を開始した。東京と広州市に関しては旧版地形図の入手を行い,地図化作業の準備を行った段階に留まったが,台北市については学会発表を行うところまで進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は広州市,台北市における現地調査を実施し,葬送文化の伝統や現代的様相に関する文献等資料,さらに行政機関等では墓地政策や法令,統計等の資料収集を行う。日本については,東京都庁や厚生労働省等において法令に関連する統計データ等を収集する。また,令和2年度に着手した旧版地形図などを基礎とした,GISによる経年的な墓地の地図化作業を継続する。 令和4年度は日中台の墓地の時空間分析の考察を精緻化させるために,風水思想など市民の文化的価値観との関係を考察するために,GISを用いて標高DEMや都市圏内の立地の特性などとの関連を考察する。現地調査においては,3都市圏において,公共および民間の墓園に関する聞き取り調査を行い,立地の経緯や遺骨等の収容形態や収容量の変遷に関する資料を入手する。これらを通して,日本にあっては自治体や宗教法人など,台湾では共同墓地や軍人墓地など,墓地の開発や整備の主体となる組織や類型による意志決定のメカニズムや要因の考察を行いたい。 最終年度(令和5年度)は補足調査のうえで,最終的な取りまとめ作業と並行して,人口増減の予測や社会経済情勢の動向に照らして,今後どのような課題や問題が発生するのかなど,市民の安寧を実現する「死後の土地利用」の持続可能性を検討する。 なお,新型コロナウイルス感染症の感染状況の推移によって,令和3年度中に現地調査を実施することが困難と判断される場合には,当初の研究対象地域については屋内作業で可能な範囲の研究を進めると同時に,代表者・分担者の勤務校の所在県・近隣府県において,墓地開発・整備に関する行政機関や法人などへの聞き取り調査を行うことも検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大によって,国内外の資料収集や聞き取り調査などの現地調査を実施することが困難であったことが,次年度使用額が生じた理由である。本研究課題においては,単に統計データの分析やGISを用いた時空間分析だけでは研究目的を達成することは困難であり,3都市それぞれの葬送に関する文化や価値観,政策的な対応などとの関連を考察することが重要であり,そのような資料や情報を得るためには,現地調査が不可欠である。 中国・台湾にあっては,日本からの入国制限の緩和,国内にあっては緊急事態宣言の解除や所属大学の定める出張に関する制限の緩和を待つ。これらの条件が整って,研究対象地域への渡航や国内出張が可能となった後に,当初の計画にしたがって,資料収集や行政機関等への聞き取り調査を実施する。次年度使用額の多くは,これら現地調査のための旅費や資料購入費などに当てる予定である。
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Research Products
(3 results)