2020 Fiscal Year Research-status Report
文化的景観の価値を活かした地域づくりに向けた基礎研究
Project/Area Number |
20K01160
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1年目の2020年度は、いくつかの重要文化的景観選定地のヒアリングを予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、現地訪問が困難となり、研究スケジュールの大幅な見直しが迫られた。予定していた中国・四国・九州地方については遠隔地ということや調査予定期間の関係で、次年度以降に延期せざるを得ないと判断した。 ただし、それに代わって、2021年以降に予定していた近畿地方から、和歌山県有田川町と滋賀県高島市のヒアリング調査を実施することで、柔軟に対応することができた。有田川町では、自治体職員およびNPO職員から聞き取りをおこない、選定後の地域づくりの取り組み方や課題について、立場ごとの意見を聞くことができた。また、高島市では自治体職員ならびに選定地で活動するガイドの会のメンバーに話をうかがい、観光客の反応や地域住民の思いなどについての話を聞いた。 一方、重要文化的景観選定地全体についての基礎的な資料のとりまとめを開始し、7割程度が完成した。ウェブサイトや奈良文化財研究所に所蔵される資料などから情報を収集する作業を、学生アルバイトなどを利用しながら進めた。ウェブサイトの情報自体が古いままの自治体も散見され、思ったより情報を得られることができない点が課題として抽出されたが、これは選定後の文化財の有効な活用といった点でも問題である。 研究組織は大学内メンバーのみだが、新型コロナウイルスの影響もあり、対面での議論が困難となったため、オンライン会議用のソフトのライセンスをとり、後期については2週間に1回の割合で研究会を実施した。ヒアリング調査は一部のメンバーだけが参加したが、こうしたオンライン会議を通じて調査成果の共有を十分に測ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響という外的要因につきる。 実績の概要欄に記載したように、予定していた重要文化的景観選定地を訪問することができなくなったため、研究スケジュールを大幅に見直す必要が生じた。2021年度以降に調査する予定であった地域(研究メンバーが居住する関西地域)の調査を先行する形で行うなど、柔軟に対応して、可能な限り研究を進めたが、予期せず順番が変更されたため、準備不足であったことは否めない。 また、対面で実施予定であった研究会についても、オンライン会議を利用する形に変更となり、情報共有などは順調にできたものの、オンライン会議に十分に慣れていなかったこともあり、議論を深める作業がなかなかできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
少なくとも、しばらくは新型コロナウイルスと付き合いつつ、調査をしていくことになる。相手先との調整をしつつ、調査隊の人数を減らしたり、時期を柔軟に設定するなどして、なんとか現地調査を進めていきたい。ただ、感染状況によっては、予定していた調査地の変更なども必要となる。調査地の変更については、2020年度に作成した基礎データを活用するなどすれば、十分に対応可能である。 オンライン会議については、研究チーム全体が習熟してきたので、問題はないと考えられる。また、調査地とオンラインで結んだオンライン・ヒアリングについても検討したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響のため、現地調査ができず、予定していた旅費を消化することができなかった。2021年度は、新型コロナウイルスの流行状況などを見つつ、現地調査を進めていくことで科研費を適切に利用していく。なお、流行の地域や時期によって、当初計画していた調査地からの変更も検討する。
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Research Products
(1 results)